しずかに、しずかに。


暗闇のなかに、星が積もる。
雪のように、それは僕の中にしみこんでくる。

ひらり、と視界の淵に白い羽が舞った。


鳥の形をしたそれは、まるで微笑むかのようにうたう。
おいでよ、もっと、こっちに。
そう囁く。



どんどん、どんどん世界が白く塗りつぶされていく。
ふっと、何かに似ているなあと考える。

姉さんとかけた青い花畑にうもれたみたいな。
父さんに内緒でつれていってもらった、冬の終わりのような銀色の世界のような。
妹が作ってくれたクリームたっぷりのケーキのような。

母がうたったあとの、真っ白な花でいっぱいの温室のような。




















――うもれる、

「朝ですよ、エル君」
落ち着いた声に、目をあける。
「どうしました、どこかうなされていたようですが」
「大方へんな夢でもみていたのかのう？
　エル坊は昨日もたらふく食べていたから」

明るい声、ほっとする。


だって言えやしないんだ、ずっと。




ずっとどこからから、呼ばれている気がしているなんて。

（手袋を着用する