日記→[http://urx.nu/hPlM]

　彼の顔が赤いのは、よく見えていた。
　言い訳がましい言葉が途切れて、真っ直ぐこちらを見る目から視線を逸らす。フードと、褪せた金の長髪が、表情を隠した。
　じわじわと、頬が熱くなる。
　ああ、何だか前にも似たようなことがあったな、と妙に冷静な思考。

　彼の言葉は、きっと、心からのそれで。
　一生懸命、伝えてくれたのだと思う。

　なら、応えなくてはいけない。

　消え入りそうな声だけれど、それが精一杯だった。
　精一杯の、答えだった。

一口サイズに揚げたドーナツを口に放り込む。
中に包んだジャムから微かに薔薇の香りがするのに、次を摘んだ手を止めた。

いつものように、髪を編んで。いつものように、髪結い紐で留める。
淀みなく、何も考えずとも行えるくらいに、染み付いた習慣を終えて、皆の元へ向かった。

一歩、前へ進み出る。
深呼吸をひとつ、武器を確かめるように握り直して構え。