おってをしりぞけた猫にせまるおとこのひと。
そのてには猫のうちすえたつえがにぎられています。

おとこのひとがつえをりょうてでもってすっとひくと、あらわれたのはギラリとひかるやいば。
しこみづえ、とよばれるものです。

猫はつめたくひかるやいばをみたまま、かたまってしまいうごけません。
おとこのひとによってやいばをむきだしにしたつえが猫のうえにたかくかかげられ、猫はぎゅっとめをつむりました。


そのやいばが猫にむかってふりおろされ――









































































「……ッ…貴…様…何のつもりだ！？」


いつまでたってもやってこないしょうげきに、猫はおそるおそるめをあけました。
そこには――


「旦那様・・・・・いや、カラバ侯爵。この時を待っていた。」


バリバリと、いなずまをまとったようなけもの。
そのつめはおとこのひとにつきたてられていて、ぽたり、とあかいしずくがじめんにおちました。
猫はそのけもののこえにききおぼえがありました。


「この悪魔――ロクを連れてくれば、必ずオマエに隙ができる。憎きオマエの元で我を殺して従順な部下として仕えるのには骨が折れたぞ？
だが――総てはこの時の為ッ！！」


このこえ。
――猫がきをうしなうまえにきいたこえです。
つまり、このけものが猫をここまでつれてきたのでしょう。


カラバこうしゃくとよばれたおとこのひとは、きずぐちをおさえ、にくにくしげにそのけものをみつめます。


「――貴様も私を裏切るか、ライデンッ！！所詮は貴様もそこの悪魔と同じエンブリオ…主人に牙剥くケダモノめ！！」


「ああ、俺は確かにエンブリオだ・・・・・オマエによって殺された同胞達と同じな！！」


ライデンとよばれたけものも、きばをむきだしてカラバこうしゃくをにらみつけています。


「仲間たちはオマエの得体の知れぬ実験で犠牲になった！！そんなお前と俺、果たしてどちらがケダモノだろうな？」


「それがどうした？私はあの子、リクの為なら何だってしてみせる！！例え悪魔に魂を売ろうともな！！」


「――勝手な事をッ！！」


うなってカラバこうしゃくにとびかかるライデン。
てにもったつえでおうせんするカラバこうしゃく。



猫はなりゆきをいきをのんでじっとみまもるほかありませんでした。

でも、なんだかわからないけれど。
これは――にげだすチャンスなのでは？

そんなかんがえがあたまをよぎります。



そう、このばはにげるべき。
それなのに。



猫にはどうしてもにげだすことができませんでした。






やがて、ふたりのたたかいにおわりがちかづいたようです。


「終わりだ、侯爵。死んであの世で俺の同胞に詫びろ！」


そういいはなち、ライデンのするどいきばがカラバこうしゃくにせまります。

そのうごきが、まるでそこだけときがとまったかのようにゆっくりと猫のめにはうつり――












――だめだ。


あのひとをころしてしまっては。


だって


だってあのひとは――

しゃんとして話を聴いてくれるロク＝リクくんに、おにいさんはメロメロです。

そう言ってお兄さんは、お兄さんの自宅までの地図の描かれた紙を
ロク＝リクくんに手渡しました。
所々目印の建物なども描いてあり、これならば迷わなさそうです。

体当たり的ハードモフモフを楽しむシロちゃん。
楽しいのですがやはり２人では暖かさ的には物足りません。



寒くなってきた２人の背後にいつの間にか設置してあるのは・・・
炬燵です！

ぶきをゆっくりとおろし、そのばにたちつくしています。

ぎゅっと、カラバこうしゃくにだきつきました。

木で作られた台に乗って、踊りながら歌っている女の子がいる
１曲歌い終わると、ちらほらいる観客に向かって話しかけ始めた