斧を握りしめる。
慣れた感覚だ。血が滲んで、折れないように、しかし適度にしなるよう、補強がなされている。あまりに重たく、運ぶときは両手で持っている。体を軸に尾で全身を回転させ、一撃を放つ。その手続きを踏まずに全力でそれを振れば、まず私の体が裂け始めるくらい、それは重たい。

斧を振るうことは喜びだ。
生まれてすぐにそれを知る。私は戦いの中で育った。戦いのために育てられ、戦いのために育った。私は戦いを求めた。立ちはだかり、破壊することを生きがいとした。敵を討ち、仲間の盾となり、仲間に勝利をもたらすことが私にとって正しいことだった。

眼はそのためにあった。尾はそのためにあった。爪、牙、角は斧で対処できない近接距離に活きた。足の爪は地を掴んだ。力強く振り上げるために。獣の心臓は血液を絶え間無く送り込んで、そのすべてを支えた。

今もそれは変わらない。
変わらない。

守るものがある。戦う理由がある。

それが人ならざるフィラデルフィアのアンサー。

私は、深く息を吸いました。

近づく終わりに、悲しみばかりが降り積もります。
私たちの目指していたものが近づくのに、何故かちっとも嬉しくはなくて。

大切な何かを取りこぼしたままに時ばかりが進むように、
事態だけがただ先へと行くように思えて。

いまや、もう、化け物でもいい。
この身体に儚さは宿らなくとも。
人間じゃなくてもいい。
何だって、構わない。

だから、どうか。

そんな風に笑わないで。