この一揆では開幕より後から参戦した者達も決して少なくない。
　　　　　　先発と後発とが組み、既に拓いた道を先導する進攻もよく見られる景色であった。

　　　　　　私達もまた、協力を依頼する対価の一つとしてヴァランタンに幾つかの道案内を行ってきた。
　　　　　　その中で、特に勝利や利他の為ではないのだが、
　　　　　　他のまだ見ぬ参戦者ともっと戦場を共にしてみたい――私の中で新たな好奇心が芽生えるようになった。


　　　　　　そんな道行きの中で声をかけたのが、メヌエモヤールとラン・メイフリート、この二人なのであった。
　　　　　　少し変わった雰囲気を持つ人達だけど、悪党では無さそうだ。

　　　　　　しかしこの二人、ヴァルさんとどこか近しい空気を感じるのは――
　　　　　　……いや、やっぱり気のせいだろう。
　　　　　　今日の進攻が終わった後、談笑が出来るなら彼についての話もしてみようと思う。






――ところで、地下牢という場所が良くなかったのだろうか？
元々病弱そうに見えたメヌエモヤールさんの体調があまり思わしくない……

差し出された手紙を受け取り、封筒を大切そうに撫でる。

食いとどめていた手を急にゆるめて、急いで屈みながら右に体を避けようとする。