旅人　片平カリナの手記　　　　　　　　　　　　　……の破られたページに書いてあった文章。

こんにちはカリナちゃん。
久しぶり……と言った方が良いのかしら。

カリナちゃんはおそらく、ベッドで眠っている私を見て、昏睡状態か何かだと思っているのかしら。
それは半分正解、半分間違いよ。
肉体的には原因不明の昏睡状態という事になっていると思うけど、魂はずっと、このプルヴィスの中に居たの。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ずっと見ていたわ。


カリナちゃんに見つけて欲しかったけど、なかなか気づいて貰えみたいたから、思い切って筆を執ってみたの。
でも、まだプルから『奪える』時間は僅かだから長い文章は書けないの。
だから今日は「お姉ちゃんがここに居る」って伝えたかっただけ。
この手紙を見てカリナちゃんが私に気づいてくれたら嬉しいわ。


もし、これが届かなかったとしても大丈夫。
時間が経てばきっと、私から迎えにいけるから。
待っててね。待っててねカリナちゃん。待っててね。待ってて。きっと迎えに行けるから。きっと私がカリナちゃんを迎えにい

（この先は、崩れた字で延々と似たような文章が繰り返されている）

雑な敬語と共に梨を受け取った途端

カリナの疑問に回答するようにねこぞくが梨に向かってぴょんぴょん跳ねている。

何かに気付いたように、繋がれたプルと自分の手を見つめる。

プルの顔、その第三の瞳を覗き込む。