キョンシーはどうやらガラクタ(姉)との話し合いに失敗したようだ。
キョンシーは自分からは言わなかったものの、使い魔が飛んで見たところによると、一撃貰ったらしい。
それでもガラクタ(姉)のしたことを言わない辺りは、もはや博愛狂人とでも呼ぶべきだろうか。
ガラクタ(姉)の反応は予想はしていたにしろ、ここからどうするつもりなのか。
手応えはある、とキョンシーは言っていたが、気になるところである。

使い魔の報告を聞いた。
……この周辺に、『北里このは』は存在しないらしい。
では、この世界に下りる切欠となった、『あの世界』…　滅んだ世界の残滓はどこから来たのか。

心当たりはあるものの、やはり調べなければ。

キョンシーは、あの世界の住民だったのかどうか。

夜――貴方の目の前にの闇が蠢き、人を形作る。

そう呟くと、貴方に気付き、ぽっと頬を染める。

口の端からよだれを垂らす。

ぐい、とよだれを拭う。が、貴方をじろじろと見る目は変わらない。

貴方はこの不審者に声をかけてもいいし、そっと立ち去ろうとしてもいい。

突き飛ばされたアンナの身体を避ける。