<Days34>


「それにしても暑いね……」

　気がつくと春は過ぎ、夏に入り若干薄着になった私達も、炎天下の仲喫茶店の列に並んでいるのは大変だった。

「そうですね、ここの夏も暑くなるんでしょうか？」
「なりそうかも？といっても私もここの夏は経験した事ないから判らないけどね」

　私はルシエ・ソルブランシェに相づちを打ちながら、列を見た。
　炎天下の仲、列に並んでいるのは嫌な人も結構居るのか、予想していたよりも列の進みはよくもうすぐで店内に入れそうだった。

「ルーシェちゃんやっと入れそうだよ、ルーシェちゃんは何を頼む？」

　私は街で貰った、簡単なメニューの書かれたりチラシを彼女に見せながら聞いた。

「そうですね。どれも美味しそうで迷ってしまいますが、この季節の桃のケーキっていうのが気になります」
「ルーシェちゃんは桃が好きなんだ。私はこっちの季節のイチゴのケーキの方かなぁ？」
「どっちも美味しそうですね。あ、もう入れるみたいですよ」
「何名様ですか？」
「二人です。出来れば禁煙席で」
「大丈夫です、当店は全席禁煙となっております」

　気がつくと列は短くなり私達は無事喫茶店の中へと案内された。
　通された席は二階席の見晴らしの良い窓際の席であった。

「これは良い席だったね。運が良かったのかな？」
「そうですね」

　私の言葉を彼女は微笑みで返してくれた。
　私達は注文をした後、窓から見える風景を楽しみながらたわいもない談笑をしていたが、私は遠くに見える海を見てふと彼女にこう聞いた。

「ねぇ、ルーシェちゃん、今度海に遊び日行かない？折角の夏なんだし」
「海……ですか？」
「そう海、夏と言ったら海かな？なんて……、きっと楽しいよ」

　私は彼女がそれを聞いて少し考え込んだのを見てひょっとしてと思って思わず聞いてしまう。

「ルーシェちゃんひょっとして……聞きづらいんだけど……泳げない……とか？」
「違いますよ、泳げます！！でもほら泳ぎに行く時って水着じゃないですか。水着って言うとその……」

　私のその質問に真っ赤になって反論するが、徐々に真っ赤になって言葉が小さくなる。

「それだった大丈夫そんなに露出の多くない水着だってきっとあるし、一緒に行こうよ。私も水着は買わないとだから今度一緒に買いにいってさ。一緒に入れる間に」

　まだ私達はこれからどうなるか判らない、いつまで一緒にれるか判らない不安もあったが、入れる間は一緒にいたいと思って私はそう誘った。
　その私の気持ちを彼女はくんでくれたのか小さく頷いた。

「そうですね、それなら……私も一緒に行きたいです」
「決まりだね、それじゃ約束だよ」
「はい、約束です」

　ちょうどそこへ頼んだ紅茶とケーキが運ばれてきた。

「でも今日はこの美味しそうなケーキと紅茶を楽しむことにしようか」
「そうですね、海の話はまた後で」


　二人は笑みをかわし会い、季節の甘味を堪能したのだった。


TobeContinued……

今回の日記はルシエ・ソルブランシェさん(2010)をお借りしました、感謝！！

ルーシェは少し照れくさそうに笑っています。

そう、微笑みながら言いました。