龍は人を好きになってはならない。
――何故なら、天は平等にあるべきであるからだ。

龍は人と交わってはならない。
――何故なら、龍の力を与えてしまうからだ。

それは即ち、既に、『天』に非ず。



「嗚呼、そういう事―――だ」
静かな呟きに、鼻を鳴らすような嘲笑が混ざる。
それすら見遣るだけ。
「わからないとでも思っていたのかい、今更だよ。知ってた――それに」
キーエは空を仰いだ。
遠い遠い空の向こう。
「僕は『姉上』と呼んでる。知ってるよ、本当は。でも、」
「――呼ぶのと、認めるのは、同じじゃないよ。マオフウ」
キーエの瞳は相も変わらず冷めている。冷ややかに灯っている。
『キー』とは、違う。

「姉上は『人』に堕ちた――ただ、それだけの事。そして姉上の欠片であるこの僕もまた、同じものである事。そりゃあ、姉上は幾百年も時間を掛けただろうね。
　僕とは違うよ」
「『キー』を創った意図、とは？」
「……何で君なんかに言わなきゃならないのかな。だとしても、『キー』を消す予定は当面、無いよ。――どうなろうとね」
マオフウはげらげらと口を裂いて笑った。
嗚呼本当に、何故こんなものが姉への糸なのか。
それとも姉はただ、逃げているだけなのか。
「ああ、勘違いなさいますな。あの方は尊敬しておりますよ。『欠片』の貴殿が可笑しくってただそれだけで―――」

「君は、僕についてくるな。僕は帰る。必ず天へ帰る」

片角の龍は空を見ていた。
いつまでも――いつまでも。

いっしょにいけるのがうれしいのか、にこにこしながらキーさんたちによびかけました。
つよいちからをもったキーさんたちがいることであんしんしているようです。

ちらりとめせんをそのよこにうつし――

まえのできごとをひきずっているのか、いざほんにんをめのまえにするととまどいをかくせないようです。
けれども、あいさつしたあともおねえさんがきになっているのかちらちらみています。

言っている間に混乱し始めて結局分からなくなり首を傾げた。

ぬいぐるみを見比べような様子の相手を見て小さく笑っていた。
そして頷く、肯定するように。

小声になるキーの姿にエッダもつられてしょんぼりとしてなんとも言えない空気になる。

しかし　はっ！と思いだしたようにエッダの顔が輝いた。

そしてその後に続いたキーのごめんねの言葉に再び表情を曇らせた。

ぱたぱたと動く姿を微笑ましそうに眺め、確認が終わるのを待って。

それにしても――と話題を変えるかのように続け、

　
そう首を傾げてみせた。

いうがはやいか、へんじもきかずにリボンをてにとってにじりよりました。

とってもまんぞくげです。

キッ、とにらんでかまえました。

この先を知って尚？とは――愚問か。問わず、止めず。ならば、

せめての言葉――息災であれ、と。

手をぶんぶん、しっぽをぶんぶん―――

たちどまってうつむいていましたが――やがてかおをあげると、きもちをいれかえるようにぼふっとほほをたたきました。
いちどだけ、おおきくしんこきゅうして――