Vanetta's Diary - Page.31


文字が疾っている。随分急いで綴ったようだ。


久しぶりに進行の為のルートを取っている31日目。２ヶ月目の1日目とも。

兵舎を探索しつつ、情報を基に兵長ラケルトの拠点へと進む。
今の所順調、のはず。城内だというのに溢れかえる化け物の数々を除けば。

ゾンビ、ゾンビ、ゾンビ。ついでに幽霊。
『元』人の住んでいた場所だとすればこれ以上ないほどおあつらえの魔物だとは思うけど、
ゾンビが発生する主な理由を考えるとあまりいい気分にはならない。
魔物としてのゾンビである事を祈るばかり。

それにしたって頑丈さや再生能力は異常にも程がある。
いくら殴ったところでロクに通ってる気はしないし、時に殴った以上に再生してる気さえするし。
もしかしてゾンビって呼称と見た目だけで実はもっとおぞましい何かなんじゃ……いやいや。

まあ、うちのパーティにはそれ以上に異常な火力を持ってるのが二人居るから
そんなふざけた再生もその上から粉砕して勝利とか怖い事昨日はやってたんだけど……

と、それを横目で見ながらちまちまやってる私としては、どうしても力不足を感じる。
面白い搦め手ができる訳でもなく。すぐに改善の手が思いつく訳でもなく。悩ましい。
今手元のネクターに蓄えられ溢れそうなこの力を全てドレイクちゃんに注ぎ込んで
契約の力を増そうと思ってはいるけど、それが成ったとしても果たしてどれほどのものか。
今後更に戦いは厳しくなると思う。現王側の有力な配下やその他の敵性存在だけでなく、
普通にその辺りをうろついてる魔物やエンブリオ相手でさえ。

どうにかなる所まではどうにか追いついていきたい。
この世界を、この面白い世界をまだ楽しむために。

槍を受け取り、説明を聞きながらまずは全体を眺める。

続いて槍を軽く振り回してみて

感嘆の言葉とともに槍を返す