こう所狭しと、とジェスチャーで等間隔に立っているイメージを説明する。

「そういない」と「常識的に考えてない」と。その超スピードは噂程度で聞いたことがあるが、そんなものはよくわからないのが当人である。
今度それを知る機会を得ることになったりもしたのだがそれはまた別のお話。
全品、と二度聞かれれば「はい」と返した。

腹が満たされれば幸福な魔はさも楽しそうにしている。

暗にお誘い。

それから少し悩むように渋い顔をした。

フラグ回収の予感に満ちている。
故郷では友達がいなかった、と言えば。ああ、と頷いて。

セバスチャンではなくシツジだとツッコまれれば、心外とばかりに

「考えるも考えないも、コトカの自由ですよ」、と、苦笑しつつ、付け足すように言って。

それから、「そろそろ行かないと」という言葉を聞き、

微かに笑んで。小さく、頭を下げた。

瞳を見開いて驚くコトカの姿に、つられて驚いて首を傾げて。

一頻り首を捻った後、余り勢いの篭らぬ言葉を喉奥から搾り出して。

「これからも長い間生きるなら」。
コトカの言葉に、少しだけ目を細めて。

何か、思い起こすよう。
瞼を伏せた裏側に、何を見たのやら。

それから、ああ、いや、と掌を振って。

茫洋と言葉を漏らしたのち、コトカを見る。

突如、背後の土が盛り上がり、そこからどくにんじんが現れる！！

まるでコトカの心を読んだかのような行動！

先ほど話し込んでいたどくにんじんがいた場所には地中へ通じる穴がある。
つまりこの短時間の間に穴を掘り移動していたらしい。
なんという速度！　なんという素早さ！

いつの間にやらコトカの四方を数十のどくにんじんが囲んでいる！！
もしも先ほどどくにんじんが地へ叩きつけた
スライム状のオレンジジュースへ視線を移したならば、
スライムが泡を放ち、泡がぐにゃりと形を変え、
どくにんじんへと形を変える様子を目撃するだろう。
皆同じことを呟き、じりじりと詰め寄る…………。


（しかし本当にこれは現実なのだろうか？）
（どくにんじんという冒涜的な生き物とは真に存在するものなのだろうか？）
（もしかしたら本当の貴方は眠っていて、
　これはベッドの中で見ている悪夢ではないだろうか）

どくにんじんたちが一斉に腕を伸ばす。
コトカに今や触れようとするその直前、ぱんっと軽い破裂音を放ち、どくにんじんが弾け飛ぶ。
破裂音は連鎖し、コトカを囲んでいたどくにんじんのすべてがはじけ飛ぶ。




次の瞬間、どくにんじんの欠片も、穴ぼこも、
地へ落ちたスライム状のジュースもなにもかもが消え失せていた。
まるで、すべてが夢だったように…………。

それからしばらくして、
どくにんじんとグリーンパレスへ向かうことになるのはまた別のおはなし。

（メッセ返信遅れてすみません！；
　キャパ的に今後返せるか不安なので、一度打ち切り方向に持ち込ませて頂きました。
　本当申し訳ないです！；；）

なると思うんだけどなあ。

ベルの声は小さく俺にはよく聞こえなかった。
コトカには届いてるんだろうか。

武器を構えながら、コトカの言葉に頷き。

ひたと、フロラとダイゴを見据える。
深く、一つ息をついて。

　ピィ、とイヌワシは一つ鳴き。
　ひゅるりと鋭く風が吹いた。