「なぁ、この子を預かってくれないか」

「久しぶりに顔を見せたと思ったら藪から棒に変なことを頼みやがるな」

「無茶なのはわかっているんだがオレにはツテなんてろくにない、お前くらいにしか頼めないんだ」

「それは、俺たちの『約束』の為か？」

「分からない、だが　そうありたいと思ってる」




「…………いいぜ　そこ娘をオレの娘としてあずかることにしよう」

「すまない」

「気にするな、こんな生業じゃ嫁なんぞきやしねぇし来てももろくに長生きできない　子供ができただけラッキーだろう」

「さくらに頼むことはとてもじゃないができなくてな」

「あいつはどう転んでも最悪の結果しか生まないからな、ただ死んでも恨むなよ？オレのところに預けるんだ」

「お前なら大丈夫さ」

「どうかね？案外明日には骨だけかもな」

「そうならないことを願うくらいしか俺にはできないからな」

「そうかよ……それより久しぶりに会ったんだ　酒の1つでも飲んでいけるのか？」

「悪いな……そうしたいのは山々だが俺にもあまり時間はないんだ」

「ふん、お役所仕事ってなは暇なもんだと思ってたんだがね」

「全くだ、今度暇ができれば奢らせてくれ」

「楽しみにしてるさ」

　
感慨深いシエラの想いは全然違うところに向かっていたようだ。

　
そしてお土産として渡しつつ食べさせて貰う気でもいるようだ。

　話し合わず、搾取を拒むならば武力衝突は十分に有りうる。知的生命体には避けられぬ事か。

なら……せめて……

人狩り……いくぜ……