パピヨンに次いで、新たに緑色の妖精を捉えることができた。他の3匹は逃してしまったのがとても残念だが、仕方がない。
捉えた妖精の名はテンチャというらしい。

「わたしを捕らえてどうする気！？ あぁ、きっとあんなことやこんなことをする気なんでしょう！ これだから人間っていうやつは！！！」
「おちついて。なにも取って食おうとしているわけではないし、ひどいこともするつもりもないわ。」

一人取り残されて、見るからにぶるぶると怯えているのだが、言葉だけは気を張っている様子だ。

「そんなこと言って、騙されないよ！人間は嘘つきだから！よーく知っているよ！いくらで売るつもりだい！！！」
「たんにこちらの研究に手を貸してほしいだけよ。ほら、既にお仲間にも協力してもらっているの」

すぐには打ち解けられないだろうとおもって、パピヨンのセチアも呼んでおいたのだった。同じ妖精の森の住人が仲間にいるとわかれば、相手も少しは安心するだろう。

「こんにちは、テンチャ！ま、怖がらなくても、だいじょぶだいじょぶ！ クレーは悪い人じゃないよっ。お菓子もわけてくれるし！」
「ん・・・。あんたらも妖精族か。ふーむ。わたしの力はそんなに安くないよ。・・・菓子はどのくらいもらえるんだい？」

荷物にはエンブリオ用のお菓子をたくさん用意しており、協力してくれるなら毎日おやつの時間に分け与えるという条件を提示した。また、この先の強大な敵に立ち向かうためには、どうしても強い力をもつ妖精の力が必要なのだと伝えた。

「しょうがないな。お菓子はそれほど欲しいわけでもないが、わたしの力がどうしてもっていうのなら、協力してやらんでもないよ。でもお菓子は忘れるんじゃないよ」

妖精ってやつは、力は持っていても、だいたいちょろいものだ。

取り出したのは、手のひらほどの黒い金属製の小箱。
複雑怪奇なレリーフの施されたそれは、禍々しい魔力を放っていますが、

そう言って、箱を開けることなく再びしまい込みます。

それから、クレーの研究棟の話に、