恥じらう様な様子にこちらは多少驚きつつも照れくさそうだ。
釣られたように耳がはたり、と動く。角を掻く。

あくまで他人事である、という事実はそれだけで気を楽にしている部分があるのは確かだ。
これが当事者ともなれば、もっと緊迫した気分に襲われるのかもしれないが。
どう転んでも、ある意味立ち去る『世界』の出来事だからこそ気楽なのは否めない。


そして、これまた唐突にフイユモーヴから出された申し出に目をぱちくりと。

半竜は半竜でも。
そう言いつつも、青年は小さく苦笑して。

冗談じみた口調で笑う青年の姿が、一瞬揺らぐ。
その手や足や体の一部が、幻の如くぶれて……変じる。

服から覗いていた手が、人型だった下半身が。
竜のモノへと入れ替わり、金の甲殻と硬い藍色の肌が覗く。
尻尾が多少太く長くなり、腰元からは翼が伸びる。
青年の頬の一部も鱗に覆われていく。

言って、肩を竦めた。

ふとオリビンの右目　眼帯の下がぼんやりと緑に輝くと
何もない中空　オリビンの眼前に掌大の輝石が浮かび上がる。

その名をそれを跳躍と共にカタナで叩き斬ると、砕けた欠片が粒子にほどけていき
渦を巻いて徐々に形を成していく。
淡い緑の光の中からお腹に子供を宿した聖母にも見える天使が現れた。