マワレ
　蝕むように、啄むように。

マワレ
　濁流の渦の中へ。

マワレ
　全てが意志のままに。



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ここ数日、マキリは引き篭もっている。

理由は単純だ。以前のように振る舞える自信が無い。
作り笑いは慣れたハズだった。

感情を剥き出しにしなければ大きな衝突も無い。
力もない自分はヘラヘラと笑い、媚び、近づいて奪って生きていく。
裏切りなんて日常茶飯事で。信じる者が悪い。

クズで、下衆のような生き方。
アイツのように強者に立ち向かう事もできず。
アイツのように全てを敵にまわす勇気もなく。
アイツのように生きていくことに真っ直ぐにはなれず。

心底自分が嫌いになる。


でも、アイツと過ごした日々は楽しかった。
媚びると殴ってくるような、変な奴だった。
だからだろう、オレはアイツの前だけでは素のままでいれた気がする。

それが、どこか嬉しかった。


なぁ、お前は今何処で何をしているんだろうな。
今も一人であのクソみたいな世界と戦ってるんだろうか。

オレはこんな処まで逃げてきちまったケドよ。
でも、ここなら・・またお前と居たように心から笑えそうな気がしたんだ。



そんな気がしていたんだ。


余所者を平気で受け入れてしまうような平和ボケした世界。
自分の事以外を考える奴が当たり前のようにたくさんいて。
空は青いわ、泣いてるガキは少ないわ。


こんな世界なら、弱ぇオレでも生きていける。


そんな気がしていたんだ。



ああ、でもダメだった。
そっちの世界から逃げだしたから罰があたったんだろうな。


ホラ、見ろよ。
真っ黒な痣が、もう服だけじゃ隠しきれねぇや。

こいつがどんどんとオレの身体を侵食していく。
どんどん、オレという存在が喰われていく。




なぁ、ヤト。



オレ、作り笑い。下手になっちまったわ。







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