私は、例えるならばこの世界のバグといったところだろうか。
この世界で普通に暮らしていれば決してありえない想いを、生まれながらに抱いていた。


----------------------------------day 25------------------------------

ひたすらこちらの攻撃を避けまくる鬱陶しい蝿を落とした私達は、一旦侵攻ルートを変更し、大廊下を進んでいた。

このあたりの敵は最早恐れるに足りないので、二手に分かれて行動している。

アトラはフィリーと、私はネム（とおまけ）と。

2人であっても特に苦戦することはなく、雑魚を適当に処理しながら進んでいた。


「はぁー。今日も誰も襲撃できないのかなー。」

思わず物騒な独り言が漏れてしまう。

最近は自分たちが強くなりすぎたために、仕掛けるべき相手が見つからず、率直に言って暇だ

今日もどうせ誰も見つからないだろう、そう半ば諦めていたが──



「この感じ──強い」

近くに強者の気配を感じ取って一気に目が覚めた。

おそらく数は2、私達と同等程度の強さのようだ。

しかし、私達は現在二手に分かれていて、完全な状態ではない。どう考えてもここで仕掛けるべきではないだろう。


でも、そんな理屈は、私の衝動を抑えるには全然足りなかった。




「行くよ、ネムちゃん。　──狩りの時間だ」