あまりの痛みに昨日は平原でしか戦えなかった。
だいぶ引いた痛み。
それでも体の奥底に残る暗い塊は拭えなくて。
自分が一気に汚れてしまったような違和感が拭えない。
鞭を手に取る。自分の武器だ。だが馴染んだ感じがなかった。

おかしいな、

今まで使ってたのに・・・、

・・・誰かの隣で・・・

・・・誰かがいたのに、

・・・・・・朧げだな、誰か野良のパーティにでも入ったかな、

覚えてない、

・・・そっか、自分は兎だから、

記憶力なんてニンゲンほど無いんだった。



半分自棄になる体を引きずる。
今度のエンブリオは何にしたんだっけ、
ボク1人で見つけられるかな・・・
見つけなきゃ、力となる、エンブリオ。

アノ子のために。

狼にも止められた。
倒せないと。もう少しで来る人がいるから、まてって。
待ってどうするの、遅くなったらどうするんだ。
自分は食われるだけだ。
あの人の封印を解くために犠牲になるだけ。
あの人を出したいのはわかる、けど・・・。
閉じこもったのはあの人の選択だって聴いたから。
その為に犠牲になる必要なんてなかったのに。

迷ったのはクロン。
憎んだのは自分。
決意したのは狼。

自分の未来が見えるようだった。
真っ暗闇だ。光なんてないんだ。
光を傷つけたのは自分だから。


あれ・・・ひかり・・・？

傷つけ・・た・・・

自分が？

いつ・・・？