それらの革命の中で死者を蘇らせたのは、
したがって新しい闘争を賛美するためであって、
昔の闘争のパロディを演じるためではなかった。
与えられた課題を空想の中で誇張するためであって、
それを現実の中で解決するのを恐れて逃げ出すためではなかった。
革命の精神を再発見するためであって、
革命の幽霊を再び出没させるためではなかった。

カール・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』　　

彼女は問いかける。


――「あんたはなぜこの革命の当事者になる？」
――「そうまでしてなぜ続ける？」




革命者オルガ。綴りは Olga Organort 。
苗字の最後の t は音を伴わない。

分割世界のひとつ「革命の世界：レルヴォヴェール Relvover 」から訪れた革命者。
故郷の世界を蝕む呪いにより、体制への謀叛を宿命づけられ、あらゆる王と支配を本能的に嫌悪する。
たび重なる革命に精神を病んだ女として、所属する故郷の左翼団体から、半ば放逐するように暇を与えられていた。

新王への敵意を確かめるように歩を進め、
革命の炎の手触りを確かめるように他の一揆衆を狩る。
彼女のなかでふたつの身振りは矛盾しない。




すこし癖のある黒髪を伸ばした長身の女。
疲れ果てながら戦うことをやめないぎらついた瞳と血色の悪い顔。
立ち止まることができず、常に歩いていなければ身体の平衡を保てない。
倒れることを拒むようになにかにもたれ、あるいはつかまる。
眠る時にも横たわることを好まない。

細身。左利き。書きものを好むが悪筆。読書好き。
身長188cm。
指先はひどく器用に皮革や金属の加工、調薬や医療処置をこなす。
理屈屋。
瞳が時おり痙攣する。

エンブリオに捧げられた左手は半ば霊質化しており、奇妙な聖性と冷たい気体に触れたような感触を持つ。
この手ばかりはどれほどの汚れも化粧も定着しない。
同じくエンブリオの巣食う右手の薬指は赤黒い色に染まる。
光の宿る左肩は鎖に囚われたようにうまく上がらない。

左腕に巻く赤・白・青の三色に染め抜かれたリボンはレルヴォヴェール革命者の証し。
《エルゴーシュ》の名を持つ左回転のリボルバー拳銃を携える。
首になにかを巻くのを嫌い、首飾りをせず襟元のボタンは留めない。

一日二〜三時間の睡眠で活動し、週に一度ほど大きな睡眠をとる。
短い眠りのときにはいくつもの断片的な夢を見て、大きな眠りには同じただひとつの夢を見る。

根城にする荘園に咲く黒い花々から《ルヴナン》と名づけた麻薬を精製し、求める者には売りもしていた。
「回帰」「亡霊」「追憶」「旧友」などの意味を持つその麻薬は、記憶に埋もれた過去のさまざまな風景を幻として服用者にもたらす。
強い依存性があり、オルガもまたこのルヴナンを愛飲する。
煙草も好み、雑多に吸う。

レルヴォヴェールの伝承では英雄オリフェンドールは、十字架に架けられ火刑に処される女性として描かれる。






プロフィールイラスト、エンブリオアイコン、登場演出、必殺絵、アイコン7〜9、12〜34は十戸さんに描いていただきました。




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