どうか、謝らないでください。

俺が至らなかっただけでしょう。

ただ本当のことでしょう。

そんな辛そうな顔しないでください。

あなたは立派だ。

甘さが死を引き寄せるとわかっているのだから。

俺を見殺しにしても良かった筈だ。

無いよりましな捨て駒として見ることもできた筈だ。

俺が「たまたま陰口の場に居合わせてしまったから」ですか。

けれど、忠告した。

結果論だから何です。

優しいじゃありませんか。

胸を張ってくださいよ。

迷ってばかりの俺の寿命を延ばしてくれた。

違いますか。






きっと、楽して強くなりたいと思っている。

だから、通るべきだった嫌な道を避けて。
だから、成長なんか知らなくて。
だから、理想ばかり語って。
だから、抜かされて。
だから、役に立たないと言われても仕方なくて。



どこかでわかっていたのに、自分に悲しくなった。
その癖自分を許してしまった。逃げた。
意地を貫き通したり、悔しさをばねにすることもなく。

自分に返る結果は当然の罰なんだろう。
優しい貴方にそんな顔をさせてしまったのも罰なんだろう。

罰として片づけてしまう思想は、試練なのかもしれない。

楽な道はどこにも無い。

鼻をひくひくしている。

うっとり。