地面に荷物を広げ、所持する物を確認するフローラ。その傍らには空になったリュックサックが置いてある。

　ぽいぽい。

　保留。

　と先日プレゼント交換で得た鉢丁味噌を仕舞う。

　いつか使うかもしれない。

　ぎゅうと鞄に押し込み、ファスナーを閉めた。小さな背中でそれを背負って、また歩き始める。
　初日に比べて随分身が重くなってきた。ドレスやコルセットは身に着けているから良いのだが、それ自体に重量があるため、やはり荷物は極力減らしていきたい。
　そう思いアイテムの見直しなどしてみたが、結局破棄するものはなかった。それらの中には取るに足らないがらくたも混ざっている。"旦那様"の側でのほほんと暮らしていた時は思いもしなかったが、この地においてはどれも貴重なもののような気がするのだった。

　数日前に試していた魔法。その媒体である砂を探すために、フローラは今砂地へ向かっている。
　また失敗するかも、いや、失敗するだろうが、少しでも精度を上げるためにより良い砂を使いたいのだ。
　何かしなくては、この夢のような不思議な世界を抜け出すためには、何かをしなくては。

　フローラはふと足を止めた。
　懐かしい声を、聞いたような気がする。

少し頭がぼうっとする。水が飲みたいと思った。

改めてフローラの身なりを眺めながら、考え込み。

ゆるりと腰を落とし、膝を曲げてフローラと視線を合わせる。

指を振り振り、フローラを手招きしている。

エッダは少し動揺した後に咳払いをひとつして、
出来るだけスマートな装いができるように努めた。

同年代の子との関わりが薄かった為、機会に恵まれ年相応の顔を見せるエッダ。
お互い話もはずむ。しかし衝撃の事実が・・・。

再び先ほどとは違う動揺をしつつも気を取り直すエッダ。

こねこね……。

遠くから騒がしい声が聞こえてきた。
そしてその声は徐々に近づいてくる。

…と思た矢先に少年は転倒、派手に水しぶきを上げて川に沈んでいった。