そこで見た風景は予想されていた最悪の事態と一致していた。
父の内蔵が無かった。母の頭が無かった。姉の足が無かった。
姉……は生きていた。僕から見て一番近い所に居た。両親の生死は……分からない。
僕は姉を抱えて村に戻った。混乱した。親の事よりも姉を優先した。


村に戻って、自分の部屋の引き出しをひっくり返して行く。あった。多分これは緊急的に使う止血魔法。なんとか詠唱無しに使えるから僕にも使えるタイプだ。そのガラス玉を割ると中から何かが流れ出して、姉の流血は止まった。
ふらふらと家から出る。医師の家に助けを呼びに行った。けど、居ない。居ない。今気付いた。この村は誰もいない。いろんな家に入ってみた。鍵は閉まって無かった。居なかった。何も無かった。なんで？なんで？
家に帰る。気づいたらアスラが姉のそばに居た。早口で何か言ってたけど聞き取れない。いつから居たのか分からない。回復魔法が書かれた魔法陣は知ってるのに。知ってるのに。
気がつくと手にネクター。自分のポッケにこっそりとあった物。

反応はない。自分でもなんでそういったのか分からなかった。

花が消えてゆく。

ーーお姉ちゃんは生きてた。村の人は何処にも居なかった。父と母は探しに行く気はなかった。
僕は姉を抱えて隣の町まで行った。足は無かった。義足をつけた。動くはずなのに動かなかった。機械士は「あとは運と根気の問題」と言っていた。
姉はあの時から空っぽになってしまった。何を言っても反応しなくなった。色々言った。反応しなかった。僕は反応しない姉に勝手に言った「僕があの龍を倒してあげる」それだけ。……


ーーﾊﾟﾀﾝ

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破裂音。
ｶﾗﾝ

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何故か夢を見た気がする。とても長い夢。普通ならいつものように思い出せばいいんだけど、その夢は思い出されたく無いような気がする。何と言うか、思い出さない事に違和感を感じない。滑る……と言うのかな。それに違和感を感じながら、その違和感も感じなくなって、それに違和感を感じたけどその違和感も………あれ？
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変な妄想をしているようだ。

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臨時PT待ち合わせ場所には高い帽子の人と、ゴシックに身を包んだ男と、とてもかっこいい強そうな女性。……とロズ。

スズメは二人を"お兄さん"、つまり年上だと思ったようだ。
　

スズメはどうやら、名前がどの鳥も全部"スズメ"らしい。
ややこしい話である。

ちょっと首をかしげてから、思い出したかのように、ちゅん　と鳴いた。

人間サイズのネクタードライバーなど、スズメに持ち運びは無理だった。