兵舎での戦い。
久々に放たれた濁流拳は相手の鎧など物ともせず、抉り込む様に直撃した。一度ラケルトに当たった気がしたが気のせいだった。
まぁ、なんやかんやありつつもラケルトを退けた。

メルンテーゼに来て以来初めての一人旅。
色々と不安だったが、終わってみればなんということもなかった。

当たり前だ。
メルンテーゼに来る前はこうやって一人旅をしていた。
ただ、その頃と同じになった。ただそれだけのことだったはずなのに、一人旅が決まったとき私はなぜか不安を感じていたのだ。

私の心に変化が起きていることは確実だった。

メルンテーゼに来てそれほど時間は経ってないはずなのに、
随分昔のことのように思えるのもそれの証左なのだろう。


これが喜ばしいことかどうかはまだ判別できない。
メルンテーゼでの旅路が終わる頃には明らかになるだろうか。





さて、知り合った梅里さん、カリカさんと向かう登山。
かつて情報を聞きながらも遭遇することはできなかったケツアルコアトル。そして最近風の噂で聞き及んだファフニール。

この二体の内どちらかと契約できることを願いながら、山道へと歩を進める。鬼が出るか蛇が出るか。

きょろきょろと周りを見回し、尻尾が力なく垂れる