激おこぷんぷん丸、という言葉がある。

初めてこの言葉を発した人はどういう気持で
この言葉を紡いだのだろうか。

「ぜっ・・・ぜぇっ・・・ぜーっ・・・」

私達を、いえ、私を守るためにその身を
流星と化して敵陣に特攻したポリアンナを胸に抱きしめ、
私は追っ手から逃がれるため山岳を駆け登る。

「まったくもう無茶して、本当にバカなんだから・・・・
そんな君に私のハートは・・・・ほんとに激おこぷんぷん丸なんだぞっ♥」

ぎゅっと抱きしめるポリアンナの身体が硬くなる。
まだ意識はあるようだ。

追っ手から逃げるため山を全速力で駆け上がる。
兵舎で出会ったおじいさんの末後の言葉が脳裏をよぎる

『─────そのエンブリオ達を信じて、─────大事にするんじゃぞい』

おじいさん、私、おじいさんの言葉・・・わすれないよ・・・

頬を熱い何かがつたう。ポリアンナを
抱きしめる両腕に力がこもる。
足はもうとっくに限界だ。
ふいごのように吐かれる息はまるで他人事、
星屑がさっきから目の前を盛んに横切る

光が滲むその先に追っ手らしき影が淡く揺らめく。
まわりこまれた？構える敵の顔を直視できない

奴らのなかにもおじいさんのような優しい人はいるの？
私はなんで戦ってるの？
魔法も、エンブリオも人を幸せにするためにあるんでしょ？
どうして私達が戦うの？
理屈なんてわからない、想いだけが私の全て。
だから、きっと間違ってるから、治しにいきたい。
癒してあげたい、治し方なんてわからないけど。それでも行きたい


生きなきゃ、生きて王に辿り着き、こんな争いやめさせなきゃ、
終わらせなきゃ、生きて、私が、この戦いに終止符を──────────

「いたぞーっ、化け物だーっ」

失礼な、私は魔法少女だ。