山岳での一戦を終え、少しづつだが着実に身に力が宿っているのを感じる。
転んでもまた立ち上がり、前へと進む事を続けていれば何時かは・・・

さて、先日森の奥深くで見つけた怪しげな建物を探索しようと
紗智はまた森に足を踏み入れる。

先を急ごうとしたその際に、少女に出会った。
見るからに場違いなその少女と話をすると、どうやらその建物に興味があるらしい。

とはいえ、少女の実力ではこの森を進むのは難しいであろう。

護衛をかってでた紗智が、その建物へと案内しようとしていたところ
真っ赤に染まった白衣を着た女性と、その女性が召還した悪魔が襲い掛かってきた。

少女を後ろに回し、紗智が立ちふさがる。
相手も同様に悪魔が前に立ち、女性が後ろから火で攻めてくる。

守りきるのが難しいと判断した紗智は精神を統一させ強大な一撃を悪魔に叩き込む。

悪魔は恨めしそうに紗智を睨むと、断末魔の雄叫びを上げる。
後ろを振り向いた紗智が見たのは、その雄叫びで気絶した少女の姿だった。

残された女性を片付け、少女の元にかけよると
どうやら大きな怪我はなかったらしい。

気がついた少女に経緯を話す。
怪しげな建物の前ではあったが、少女が一度倒れている事もあり一度戻る事とする。

紗智は護衛の任を果たせたのだろうかと、悩ましくはあったが
少女から感謝の気持ちだという謝礼を受け取るのだった。

クスクス笑う。

ケラケラと笑い出した。

おたおた…

その言葉を聞いてピクンと耳が震えた

相手が作ったものを見て喜んだ表情をするとほっとしたように息を吐く。
だが、着物の柄をさして「このお花はなんという名前なんですか？」と聞かれると
途端に表情が曇った。

落ち着いた薄紅色の着物には大小様々な色の花が散りばめられているが
もし花の知識があるのなら、簡略化されたその柄は菊やスミレなどに
似た種類の花だとわかるだろう。