思い出したかのように、私は世界を超えるテレパシーを送る。

それに答えるのは一人の少女。
「も、もしかして……カルディさん！？」
少女はびっくりした声で聞いてくる。

「ごめんね、セルフォリーフという異世界から今いる異世界、メルンテーゼに飛ばされた時に記憶なくしちゃっててね。」
「えぇ！？だ、大丈夫なんですか！？」
「あぁ、もう大丈夫さ。今まで連絡取れなくてごめんねClarice。」
「カルディさんが大丈夫ならばクラリスは大丈夫です。」

カルディがClariceと呼ぶ少女は、Clarice=Re=Arietto。
クラリス=リ=アリエット。
カルディと育ってきた少女、いや……カルディが育てた少女だ。

「クラリス、とっても心配したんですからね！？生きてて良かったです。」
「私はそう簡単には死なないさ。死にかけはしたけどな、あの時は辛かった。」
「えぇ！？ちょっと！！カルディさん！？無茶しちゃ駄目ですってば！！」
「不幸な事故だったのさ、そう……とっても不幸な事故……」

今までの事を話すカルディ。

「カルディさん……。」
「もう、大丈夫さ。これからは3日1回はこっちからかける。淋しかったらそっちからかけてもいいぞ？暇な時しか出られないが。」
「私はそこまで子供じゃありませんよ、ふふ。甘えたい時は甘えさせてもらいますよ、お母さん……いえ、カルディさん。」
「あぁ。」

ぷつりと切る。
「ずいぶん育ったものだな、Clarice。」
しみじみと幸せに浸るカルディだった。

どくにんじんにあなたの記憶はないようだ。
だが種族の特性上、なにかきっかけがあれば貴方のことを思い出すかもしれない。

にこり。
彼女はなにを考えているのかわからないが、いつになく笑顔だ。

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