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英雄になれなかった俺達は・・・"失敗作"だ。


いつか処分される日を待ち続けるだけ。


だが、俺はそれでも良かったんだ。


あの"少女"と出会うまでは・・・


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見慣れぬ天井の下で目を覚ます。

右目には相変わらず感覚がない。


ふと、何かの気配を感じた。

どうやら俺がこの世界で契約したエンブリオ達のようだ。

その言葉で安心したのか、エンブリオ達の気配が消えた。

偽物の俺には勿体無い、気の良い奴らだ。


さて、これからどう動くかだが・・・

本物の英雄を探す戦いを続け、英雄として見込みのある奴を本物へと導く。

そのためには、今よりも俺自身が強くなって戦いの最先端に立つ必要があるだろう。

前回の戦いで魔獣達を相手に苦戦した俺は自分自身の力不足を感じていた。



かつて、俺の友だった男は言った。『強さは英雄の条件じゃない』、と。

その男は誰よりも弱かった。弱かったが勇敢だった。

だが、その男は何も守れなかった。英雄にはなれなかった。



本物の英雄とは何なのか。今でも俺はその答えが分からずにいる。

皆が皆、それぞれの英雄像を持っている。故に十人十色の英雄がいる。

では、俺の中の英雄の定義とは何なのか。

一つ目は・・・

『偽物は本物には勝てない、それを体現すること』


つまり、俺を殺せるほどの力を持っていることだ。

力なき英雄は、何も守れないことを俺は知っている。

そして、もう一つの条件は・・・



なんとなくだ！



そう、こればっかりは俺自身言葉では説明できない。

ただ、出会ったときになんとなく分かる。

もしかすると、俺の中にわずかに流れる本物の英雄の血が反応しているのかもしれない。

ふと部屋の時計を見るとすでにいい時間となっていた。

次の戦いは前回ほど厳しくはならないはずだが、油断は禁物である。

本物の英雄の死因は、ほとんどが女と油断によって招かれたものだ。

おそらく、たぶん。

愛用の槍を肩に背負い、古臭い部屋の扉を開く。

背後からあの少女の笑い声がまた聞こえた気がした。



こうしてまた、本物の英雄を探す俺の戦いは始まるだ。