森林の奥に建っていた研究棟への進入は、失敗に終わった。
入り口で立ちはだかった女性の研究員と、彼女が召喚した悪魔を退けることができなかったのだ。

研究員の支援を受けた悪魔は、先生の攻撃を何度受けようとも びくともしなかった。
しかし、先生もたいしたもので、上手く悪魔の攻撃を受け流して 痛手を受ける様子はなかった。

とはいえ、ひたすらに護りきれば良い相手と違って、こちらは 突破しなければ先には進めない。
決着の付きそうにない戦いを 延々と続ける訳にはいかなかった。
争いの喧騒を聞きつけ、王側の増援がくるとも限らないのだから。


膠着状態に陥ったことに気付いた後は、判断に迷いは無かった。
私は 駄々をこねる先生を抱え込んで悪魔から引き剥がし、その場を離れたのだ。

背後から、勝ち誇った研究員の声が聞こえたが、
その嘲弄は、甘んじて受けるしかなかった。



今は森を抜けて広庭を進み、大廊下へと足を運んでいる。

庭師ブランチマンがその門を守っていた大廊下。
玉座に通じる可能性が高い場所ながらに、進攻が捗っていない場所。


一揆の目的は、王に会い、ネクターの簒奪を止めて貰う事。
王に会う為に大廊下を進むのは、理に適ったことのはず。

なのに なぜ、こうも進軍が鈍いのだろうか…

兵士達の守りが堅い為に、侵攻が難しいのか。
部屋や通路の造りが複雑で、探索が順調に運ばないのだろうか。
罠の存在を警戒しながら進む為に、遅々としたものになるのだろうか。



それとも…　何か、他の理由があるのか。

'' あの男 '' の言葉が脳裏を過ぎる。


まさか、そんなはずは…


私達は…　いいえ、少なくとも 私は…

それを確かめたくて、私は 大廊下の状況を見たいと思ったのだ。

先生のこぼす愚痴で、思考が引き戻される。

先生は、あれからずっと、めそめそと涙を浮かべて べそをかいている。
研究所に入れなかったことが悲しいのか、悪魔に力が及ばなかったことが悔しいのか…

たぶん、両方なのだろう。

たくあんと食材がなくなり、代わりにチーズが現れた。

もりをさらにさらにおくへとすすんでいくと、なにやらあらそうようなこえがきこえてきました。

かたほうはどこかできいたこえのようなきがします。
なんだかきになってこえのするほうへいってみることにしました。
そこには――