メルンテーゼ特産料理メモ


へんでろぱのレアステーキ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2日目の昼食。2PS


メルンテーゼに来て最初に入った料亭で食べた。

食感もボリュームも特に変わったところはなかったけど、かかっていたライムソースが好み。
流石にソースのレシピに関しては教えてくれなかった。

「すいません、これ何のステーキですか？」ってお店の人に聞いたら
「書いてある通りへんでろぱですよ？」って返って来たことに軽く衝撃を受けた。

食材を聞いても、どんな生き物の肉なのか判らないってのは軽い恐怖。
異世界に来たんだなあ、と言うことを最初に意識した出来事だったと思う。

でも美味しかったので気にしないことにする。



鯵の香味餡かけ
　　　　　　　　　　　　2日目の昼


上のステーキを食べたお店で、魚人の子※1が食べてたお魚料理。
「お酢をベースにニンニク、ネギ、唐辛子で味付けした餡を軽く揚げた鯵にかけるという料理」って実況してた。
どっちかというと料理のレシピより、その子が美味しそうに食べてた事のほうが印象深い。

どうもメルンテーゼに来てからお魚料理には縁が薄いのだけど、白身魚が手に入ったら餡かけで食べたい。

マッスルポテトサラダ
　　　　　　　　　　　　　　　3日目の夕刻

紗智※2に依頼されて作った料理。
美味しい草をベースに、マッスルポテトを湯がいたものを乗せ、胡麻ドレッシングをかけたもの。
当時はこの世界の料理の法則が上手くつかめず、試作品みたいな感じになってしまったのが悔やまれる。

残念ながら料理としての本分を全うされず、タクアライトの仲間入りをしたらしい。



煮っころがし、野菜炒め
　　　　　　　　　　　　　　　　　3日目の夕刻

同日、同じく美味しい草で自分用とモク用に作った料理。
故郷で作っていたものをこちらの世界の調味料で作れるかどうか？のテストを兼ねていたのだけど、
なんか普通に全く同じ調味料があって拍子抜けした。
可もなく不可もなく、いつも通りの料理に仕上がる。

マッスルフライドポテト
　　　　　　　　　　　　　　　5日目の夕刻

アルヴィンから頼まれて作った、保存が効いて簡単につまめる料理。
頼まれた通りに蒲公英で味を整えたので、のり塩みたいな味になった。
青臭いの苦手だと少しダメかも、とアルヴィンに伝えたけど全く気にしてなかったみたい。

と言うか万能だねマッスルポテト。



コーンフレーク
　　　　　　　　　　　6日目の夕刻

アオサから作った。

アオサから、コーンフレークを、作った。


依頼主※3は「乾燥させればコーンもアオサも大体同じ」とは言ってたけど………
メルンテーゼ料理について深く考えてはいけないことを理解した。



ミソスープ
　　　　　　　　6日目の夕刻

こっちも同じくアオサから。
割と味噌汁の具材として好みで、家にいるときにもよく作ってたので自信作。
依頼主※4の好みに合わせてミソを濃くせず、ダシ風味であっさり風味で仕立てた。



野草焼き
　　　　　　　6日目の夕刻

土筆と、市販の野菜三種類を一緒に焼いたもの。
油は使わず、塩と胡椒だけで味付け。胡椒は風味を出す程度に。
普段と同じように作っただけであって、工夫した料理でもないのだけど……
奇妙な縁になった依頼主※5と最初に会った理由がこの料理、って思うと複雑。

依頼主からは「とても――”懐かしかった”よ。食事をとるというのは」ってコメントもらった。

干し肉（馬）
　　　　　　　　10日目の夜

グレンダがアムルイ※6から貰ったお肉のおすそ分け。
原材料はダークホース。
まあ、加工済み＆複雑な味付けが出来るものでもないので、コメントはあんまり。



スターゲイザーの塩漬け
　　　　　　　　　　　　　　　　　　10日目の夜

この世界にきてやっとまとも（？）な魚を採ったけど、馬肉のお返しがしたかったので保存の効く塩漬けに。
下ごしらえ済ませて塩につけたのに、まだ動いてた。スターゲイザー弱いのに怖い。

泥臭さなんかは思った程でもなかったけど、味が淡白すぎた。
塩漬けは選択肢としては間違ってなかったけど、次に作るときはもうちょっと濃いソースとかで頂きたい。



しめじの塩バターソテー
　　　　　　　　　　　　　　　　　12日目の夕刻

バターは冷めるとどうしても美味しくないので、口内の温度だけですぐ溶けるように工夫。

具体的にはしめじに薄く切り込みを入れて、間にバターを塗った後に軽く焼く。
クロワッサンみたいな構造と言うと判りやすい？
焼いてる最中に塩を軽く振って、塗った物以外にもバターも少しだけ合わせて完成。自信作。

きのこ+バターといえば醤油だと思ってたけど、塩バターも意外とイケると知ったのがこの料理最大の収穫。



芋虫
　　　　13日目の昼

ノーコメント。

チーズスフレ
　　　　　　　　　14日目の夕刻

出来たてを食べられるわけではないメルンテーゼの食事事情から、ふっくら仕上げるのは諦めて卵とメレンゲは少量。
不思議な花をカラメルに漬けたものを生地に絡めて焼き上げ、デザートとして仕上げた。

味見した感じでは、甘さを少し抑えすぎたかも。
反省点。



シーザーサラダ
　　　　　　　　　　　　14日目の夕刻

たくあんをメインにレタスと菜っ葉を加え、
たくあんで作った宝石のドレッシングで味付けしたもの。

何を言っているのかわからないと思うけど私も何を作っているのか判らない。
でも味は問題ない。



ピッツァ・クワットロ
　　　　　　　　　　　　　　　15日目の夕刻
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　quattro
たくあん、残念な食材、駄石、たくあんでクワットロ。

………？？？？？
ま、まあ気にしないことにする。
冷めたピザは美味しくないので、こればっかりは食べる前に再加熱必須。
このことを考えたら、サタンと契約しとけばよかったかも。

強者呼ばわりされたのが嬉しかったのか、わりと上機嫌だ。

メルンテーゼに来て半月。
君は戦いを通じて、多くの出会いにも恵まれた。
時には頼れる仲間として、時には立ち塞がる敵として。
あるいは得難い友として。
それらの出会いに感謝していない、と言えば嘘になるだろう。
苦労することもあるが、その多くは快い苦労だ。
きっとあのまま、家を出なければ知ることはなかった。
その点だけは、胸を張って父親にも誇れるだろう。
私はこんな人達と出会ったよ、と。

よく晴れた空がある。
その下に広がるのは、城下町から王城へと続く平原だ。
ここから各地に道が通じているが、今、そこを歩くチハヤに連れはいない。
最近は一人で行動することも多いせいか、こういうのは慣れたものだ。
とはいえ、気を弛めてしまうわけにもいかない。
一揆が順調だとはいえ、ここは既に敵地。どこに危険があるか分からない。

だから人影が見えた時、君は反射的に槍を構えた。
敵か魔物か。あるいは同業者か。
意識のギアを一段上げ、戦闘に備えながら誰何の声を上げる。

果たして現れたのは、山の民のアムルイだった。
敵ではなかったことにほっとして、君は槍を下ろす。
向かう先から来たということは、これから街に寄るのだろう。
その証拠に彼女は泥や草の汁、そしてハッキリと分かる量の血糊に汚れていた。
酷い姿だが、無事でなければここにはいない。
だから心配する必要はないと察して、君は軽く手を振って挨拶をした。

その通りだと答えて、まずは情報を交換することにした。
王城や、その周囲の土地は広大だ。
最新の情報を仕入れておくにこしたことはない。

そうして情報交換が終わった時、ふと、アムルイが真剣な顔をした。
彼女がこんな顔をしたのは始めて見る。
否――そういう面もあるということは、グレンダから聞いて知っていた。
今までは偶然、笑い話になるような面しか見ていなかっただけ。
だからこれからの話は、彼女の本質なのだろう、と気を引き締める。

身構えていただけに、なんだそんなことか、と拍子抜けした部分もある。
君が戦う理由は、力を貸して欲しいと望まれたから。
そして自分の腕を試してみたかったからだ。
この世界に来て、思うところも増えたが、根本にある理由はそれだけだ。

答えを告げると、アムルイは納得したように頷く。
予想外だったというわけではないのだろう。
ただその様子には、疑問を満たしたことへの喜びはない。

――それが君には、酷く不吉なように思えた。
まるで値踏みされているような錯覚。
知ろうとしたのは嘘ではないだろう。
しかし認識がどこかズレている。
そのことを問い質す前に、アムルイが口を開いた。

何故、安心する必要があるのか。
それではまるで踏み絵だ。
安心できない答えだったのなら、何をするつもりだったのか。
目の前にいるこの少女は、見た目ほど単純な存在ではない。
社会的な知識が足りていないだけで、おそらくは聡明だ。
それも生き死にが、ずっと過酷な環境で生まれ育っている。
いざという時、何をするにしても躊躇はしないだろう。
その確信が、どうしても不吉さを加速させてしまう。

最早彼女は問いかけない。
答えを得て、回答する。
問いかけの先で、答え合わせをするために。

アムルイはかく語る。
簒奪者の方が、よっぽど穏便に見えることを。

彼女には何が見えているのだろう。
この世界の住人として、それは見えてしまっていいものなのか。

ならばそこまで見えて、何を見ようとしているのか。
彼女はどう終わらせるかを決めたと言った。
新王を倒すことによって生じる問題の解決。
そこまで含めての終わりであるならば、その答えに次なる王はいない。

それが彼女の目指すと決めた道。
だが彼女は気付いているのだろうか？
その道と比べれば、王の首を挿げ替える方がまだしも平和的だ。
王を廃するということは、王国ではなくなるということ。
それはとどのつまり、この国を一度、滅ぼすということだ。

彼女の理念に共感する者もいるだろう。
だが同じぐらい、いやそれ以上に反発する者もいるに違いない。
だとすれば、その道において一揆の終わりとは、平和の訪れではない。
国の興亡を賭した、新たな戦争の勃発だ。

その危険性に、彼女は気付いているのだろうか？
眩しい夢を見つけて、何も見えなくなっているのではないか？
不吉さの正体は、おそらくそれだ。
答えを得て、答え合わせをすることも必要ではある。
しかし彼女に限っては、問い続けなければならない。
世界と己に、この道は正しいのか否かを、だ。
問いかけることをやめた時、彼女こそが新たな魔王に成り果ててしまうのだ。

その誘いに、どう答えるべきか。
結局のところ君は異世界の人間で、他所者だ。
力を貸して欲しいと望まれ、ここまで応えて来た。
だが、これは力を貸していいことなのだろうか。
それ以上に――国の行く末に、他所者が関わっていいのか。

アムルイは答えを待っている。
終わりの先で、手を血に濡らしながら。

結構楽しそうな表情である。やはり根っからのバトルマニアである。

10歳は年下の少女に正論で諭されて、何も言えなくなるアラサー。

悔しいので何かを言い返そうとするも、正論すぎて何も言えさず。
もはやガチ謝りしかなかった。

話題が変わったのを確認すると、途端にもとの偉そうな調子に戻す。

薙疾の少し寂しそうな表情に気づき、

1つ咳払いをして

どこまでが本気で、本性なのか……己でもそれを知らぬ少女は無邪気にそう笑った。
その裏では……

捉えようによっては危ない主人の発言をフォローする少女のエンブリオと、
女性形エンブリオにナンパを仕掛けるウザさが隠し切れない鳥のエンブリオがいた。

薙疾はもはや使わないだろうと思っていた『神凪』を取り出す。