作りかけのシチューをぐるぐるとかき回す。
この世界に来るまで、あまり料理はした事が無かったけれど、
シチューやカレーぐらいならば、旅の途中にも作る機会はあった。
土地勘の無いこの世界では街以外での補給が難しいから、
もう少し料理の知識を身につけておきたい。
…以前、ミルに任せたらちょっと酷い事になったし…。

この世界にも季節による気温の変化がある様で、空気はだんだん冷えてきている。
アルファは相変わらず工房に篭ってなかなか出てこないけれど、
これからもっと寒くなるなら、食事は一緒に、就寝前に取るよう言っておかなくちゃ。
その方が温まるから。
それと、床に敷くダンボールも確保しておいた方が良いかもしれない。
紙の保温性と中空構造を組み合わせたダンボールは、
毛布を敷くよりも格段に空間を暖めてくれる。

買い物も頼んでいるのに、なかなか帰って来ない。
近くまで来ていれば匂いで解るのだけど…。

コロと作る暗号のため、ボクたちは森に木の実を拾いに来ました。
空がオレンジになってるから、もうそろそろ帰らなければいけない時間です。

彼の技工の高さに改めて驚きを見せるが、ユキナの言葉を聞くとふっと和らいだ表情を返した。

考えた事もなかったという言葉に、きょとんと目を瞬かせて。