「そりゃお前、毎日顔付き合わせてんだ、話だって少しはするだろ？
それぞれの"個"を知るにはまだ時間は足りねぇが
全くの赤の他人ってワケじゃなくなってんじゃねぇのか。
相手を道具か駒としか見てねぇだとか、絶対に心を許す気は無ぇってんならともかく
そいつの"存在"ってのは徐々に自分の中にできてくもんだ。
そうなりゃちっとぐれぇ愁傷の念に駆られもするだろうよ」

「んー、そうだな…嬢ちゃんと一緒に行動してるのはどんなヤツだ？
面白れぇとか頼りになるとか、そういう他愛も無ぇ事でいいから教えてくれねぇか」

「だから父ちゃんじゃ…あ゛ー、ったく…まぁ、嬢ちゃんの好きに呼びゃあいい。
…あとな、オジサンは別に優しかねぇのよ。
自分のためさ…自分が満足したいだけ、納得したいだけだ」

「よし。聞き分けのいい仔だ。
もうちょっとじゃなくてずっとならなおよしだが。
…言ったからには、進んで無茶な真似はすんなよ？」

「おーおー、そりゃあ嬉しいねぇ。
あーいや、そうだな、お友達で頼むわ。…ヘンな噂立ったらたまんねぇ」

「…ふむ、よくあるイリュージョンのそれだな…」

「」

「…お、おー(ﾊﾟﾁﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
やるなぁ、立派に手品師してんじゃねーか。見事なもんだぜ。
…で、消えたヌイグルミもう一回出せたりするか？そいつとクロスを調べさせてくれ。
種も仕掛けもございません、たぁ言うがこういうのはどうにも気になるタチでな…」