最近、わたしたちはダルシャナの事典亭でお手伝いをしている。
　
　ちゃんとした飾り付けはまだまだこれからだけど、ユール祭のツリーも飾った。
　
　
　ユール祭では、死者のためにお酒や食べ物を捧げる、ユール・ボードというものも用意するそう。
　
　あなたが好きなお酒はよく知らないから見た目で選んでしまったけれど、食べ物は持っていけるといいな。
　

（くすぐったそうな様子が伝わったのと、ロウ君の突っ込みに慌てて手を引っ込めて、翼ではなく今度は少女の頭の方をぽふりと撫でて）

（エル嬢の歌声の話になり、思案顔。暫しの間の後エル嬢の前に屈んで視線を合わせつつ）

（そして少年の方の耳にだけ届く位置に移動してから耳元にこう小さく囁く）

（きらりと光る赤い瞳と、少年が身を乗り出す様。明らかに積極的に話に乗ってきている――いや、そこからが本題だったのだろう。
語られる話と、聴きなれない単語。
そして――空洞の奥の“それ”に、左右色違いの瞳と、浮遊する少年姿の精霊のアイスブルーの瞳はどちらも釘付けになってから、互いに顔を見合わせる。

少年の言葉の締めくくりに、大きなため息が零れ落ちた）

（そう、確認するように問いかけを呟きつつ）

（アークのその言葉を聞き届けてから。左右色違いの瞳は、少年の赤い瞳を真っ直ぐに見つめる）

（少年を見つめる左右色違いの瞳に迷いは見えない。恐らく――本人の心はもう、定まっているのだろう）

男は少年の言葉に不機嫌そうな顔を見せた。