この場所に辿り着いてから七日……いや、まだ五日目だったか？
土地柄というものか。
ここの土はとてもしっとりとしていて、水気と栄養をたっぷりと含んでいる。
誰が呼び出したのだか知らないが、女神の園の名は伊達ではないようだ。


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【喉仏のこと】：特筆することはない。
　　　　　　　　何処ででもスクスクと育って一定量の実をつける。
　　　　　　　　形状はまちまちだが奇形というほどのこともない。
　　　　　　　　元よりこいつの形はだいたい奇形と言って問題ない。

【食卓のこと】：先日のねずみに逃げられたのは惜しかった。
　　　　　　　　けれどそのあとでまるまる太った川ネズミを三匹も捕えられたのでよしとしよう。
　　　　　　　　ほとんどはシチューにして、余ったものを依頼の肉と一緒に塩漬けしておいた。
　　　　　　　　ビッキはどうしようか。……まだ決めかねている。





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そういえば、この前の"アレ"がちょくちょく出てくるようになった。
案外タチの悪い夢かと思っていたのだが、やはりタチの悪い夢だったようだ。
みんなには見えていない。アレは"縁"の無い者には見えないのだとか言っていた。

夢で会ったから俺とは縁があるっていうのか？
それとも別の理由があるのか？

正直わからない。
俺には昔の記憶がないから、アレがあると言うのならあるのかもしれない。
しかし確証がない。俺を欺いたところでアレが何か得をするとも考え難い、が。


どうにもこんがらがってきたので考えるのをやめた。

駄目だな。元より俺はあまり頭のいい方じゃない。
きっと時期が来れば、アレが話してくれるんだと思おう。
……話してくれないかもしれないが。そもそもそんな信頼の置ける相手でもない。関係でもない。




まったく、めんどうくさいことになったものだ。

準備の一環で鎧を脱いでる様子。

指をさす。
相手を、そして自分を。
何だかかなり遠回りこそしてしまったものの、ようやく名前を聞けた事に安堵もし。
……一時は変態さんかとかなり疑ってしまったものだが。

頷く。いい人なのだと訴えたくて、けれど伝えるには少し言葉が足りず。
まごまごしているうちに、はっ、としたように顔をあげた。

つぎはぎの言葉を早口に言うも、それが伝わったか伝わっていないか確認する余裕がどうやらないようで。
ぺこぺこ、と相手に深く頭を下げればそのまま駆け出した。
その場を、去っていく。

そういうと、チャンダナの前でいきなりアジュガは地面に寝転がる。
そのままごろごろと寝返りを打つと、「一張羅」は泥まみれになっていた。

ぽんぽん、と服の一部を叩く。
すると、さっきまでの泥汚れが無かったように、布はきれいになった。