せせらぎとは違う水音が、小川のほうから聞こえてくる。
　オレは音のほうへ向かって、少し小走りに駆けていた。

　さっき話しかけてきた男の人のことが脳裏に浮かぶ。確か、エルさんと言っていただろうか。
　もしかしたらあの人みたいに、協力できるような人かも知れない。

　レイさんのことを嫌っていたはずのディーネさんが、そんなことをオレに言ってくる。
　それぐらいオレのことを心配してくれてるのか、もしくは案外、レイさんのことを嫌いでもないのかも。レイさんがいい人だってことは、ディーネさんもよく分かってるはずだし。

　マメさんの呟くような声を怒鳴り声でさえぎり、ディーネさんが先行する。
　慌てて後を追うと、ジャギさんやマメさんもあとに続いた。

　……で。

そういって緊張しながらもあなたに話しかけてくるエリファスだが、
ディーネさんが不審げな目をしているのを見て、慌てはじめる。

あなたがエンブリオに問い詰められている様を、楽しそうに見ている。

そう言いながら、そっとあなたのエンブリオに手を伸ばしている。
勇気があると言うべきか、無謀と言うべきか。