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情報熱力学──インフォミストから熱を取り出す魔法により、日々の暮らしの中で必要なエネルギーが生産されている。無尽蔵に存在するインフォミストから熱を取り出すことができるため、人々がエネルギーに悩まされることはない。


争う理由がない故に、その世界は平和だった。
取り合う必要のない十分な量の幸福に満たされており、やがて人々は悪意を忘れていった。
稀にイレギュラーが発生するものの、十分に対処可能であった。


──ある時、までは。




4/N
----------------------------------day 13----------------------------------


「平和こそが真の秩序を生むの。さぁ皆武器を捨てて、手を取り合って。」

紙に線が1本書き加えられた

「秩序を維持するために必要なもの、それは痛み。」

紙に線が1本書き加えられた

「悲しみに包まれるとき、人々は真の秩序を知る。」

紙に線が1本書き加えられた

「全ての人々が怒りに狂うことで、新たな秩序が生まれるの。」

紙に線が1本書き加えられた


…………


いつしか、紙は真っ黒になっていた



……

…



鈍い痛みを感じて覚醒する。

「ここは……」

見慣れた風景。
ここは律法騎士団の拠点だ。
どうやら私は横になって意識を失っていたらしい。

「……つっ……」

体を起こそうと節々に痛みが走る。
やはりというか何というか、相当消耗しているようだ。
戦闘の時の記憶も曖昧だ。どうにか撃破には成功したようだがそこで私も力尽きてしまった。
ネムがここまで運んでくれたこともうっすらとは覚えている。


邪神様の力を全身に召喚することの負荷がここまで重いとは……。


思っていた以上に今の私は弱い。
律法騎士団の面々を利用しているつもりでいたが、自分すら御することができないとは笑い話にもならない。


もっと……もっと力を手に入れないと……。
でないとワタシは……。