「“けっかい”？」



「そう、“結界”。大切なものを守る為の力だよ」



「大切なものを守るための、力…」




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　　　　　　　　　　ちから
わたしが自分の能力のことを教えられたのは、いつのことだっただろう。
それほど昔のことじゃない気がする、けれど、覚えてはいない。

わたしたちの一族は、ずっと昔から、結界を使う能力を持っていた。
生まれながらに魔力を持っている人間が殆どいない世界。珍しい存在だと言えば、そうなんだろう。


“「凄いね」と言って敬ってくれたりする人も居る。だけど、不気味がる人も少なくはないんだ”

前に、島を訪れた旅人のお兄さんが言っていた言葉。
幸運にも、わたしが今までそういった状況に出会うことはなかった。
けれどそれは、育った環境が良かったからだと思う。

中心となる大陸から離れた海にぽつんと浮かぶ、小さな離れ島。
島の人達はみんな大らかで、優しくて。過ぎていく時間はいつもゆったりしているように感じる。
今では暖かい場所に住んでいるけれど、もともと“結界使い”たちは、もっと寒い所に住んでいたそうだ。

時には大きな戦に加勢したり、またある時には危険な存在だと言われて故郷を制圧されそうになったりしながら、歴史の糸を紡いできた。
わたしとわたしの家族は、時代が変わっていく途中で世界のあちこちにバラけたうちの一部らしい。

全員が何処へ行ったのかは書物にも記されていない。だから、詳しいことはわからない。
ただ一つ、知っているのは、わたしと同じ能力を持っている人は、白銀の髪に深青色の瞳を持っている、ということだけ。
特別会いたいという訳ではない。でも、何処かで巡り合えたら嬉しいだろうなと思う。









□　本編とは関係無いおまけ　□
http://bit.ly/1c7UYpk
（ハロウィンチャットで使用していたアイコンの大きめのもの、でした。）

水玉合戦、夏にやったらきっと楽しい。
そんな事を考えた少女が両手でガッツポーズを作ったところで、アマリアの足元で鳴いたアニマに視線が集まる。

目線を合わせようとして、トレノが屈んだ。

ヴァルトのウンディーネが笹の葉で作られた包みを持ってやって来た。