剣に生きる者が居る

誰かが問う

「それで何が残るのか」と

誰かが答える

「剣で私の名を残す」と

すると誰かがそれを笑う

「すぐに忘れられるぞ」と

すると誰かが問い返す

「それではお前は何を残す」と

聞かれた誰かは直ぐに答える

「当然、我は子孫を残す」と

負けじと誰かが突っかかる

「例え子孫を残しても、お前が死んだらそれまでだ」

「それはお前も同じだろう」

誰かと誰かは同時に思う。

「それでは我等の生きる意味とは」





海石榴巴の生き方は違った。
何かを残す為にこの世界で剣を振っているわけではない。
何かを残したところで、それはすぐに消えることも知っているし死んだらそれまでだということも分（し）っているいるからだ。

海石榴巴が剣に生きる理由は何か。

父が剣をしているから？
技術の向上に意義を見出したから？
他でもない剣こそが至高であり絶対だから？
剣を鍛えれば身体ではなく心を磨くことができるから？
それとも、ただ単純に、自身に剣しか生きる道が無いから？

きっと、そのどれでもあり、どれでもないのだろう。
強いて一つに集約するなら。

海石榴巴にとって、剣とはすなわち生であるから。

剣は目的であるようで、手段のようでもある。
起きたら欠伸をするかのように、当然の如く剣が有る。
剣を交え、命のやり取りをする中に、生を感じる。
死の淵で生を拾う。

何かを残すためではない。

海石榴巴にとって、『今』と『生』を最も感じ取れるものが“剣”であり、それを本能的に理解（し）っているからである。
それは快楽などといった俗世的なものではなく、宗教などの浮世離れしたものでもない。



海石榴巴を覆うように

海石榴巴の芯を支えるように

ただ在るのが剣であるだけ



他愛もない偶然。

ただ、それだけ。

＞ティンバー

朝食をおいしくいただいた！

＞ピィカ

＞ルーク