此方に赴いてから、随分と経った気がする。
・・・とは言え、私の時間では然して変わらない感覚でもある。
一睡も眠らない週が有ったと思えば、石のように動かず、眠って過ごした日々も在る。

当初私は、私の無くしたものが、この地でエンブリオと言う力の欠片として顕現してはいないかと思った。
しかし未だにその片鱗も見えては来ない。
ああ、またかと諦観するような言葉が、私の思考に満ちる。

・・・或いはもう既に、私が行ける場所には無いのだろうか。
そう思ったことも、無くは無い。
ただその都度に、何らかの外的要因に助けられても来た。

全く以て御節介であり、結局は私の手でしか見つけられないのであれば、究極的にはその手助けは気遣い以外無駄なものとなる。
もう良いのだ、と文句も言いたくなりはする。


――ただそれでも。
未だ諦めない私の意地は、それらに支えられて来たのかと、今は少し苦笑する。

注文をだされると、喜んではりきっています。
とはいえ、カレーの妖精の手から、魔法のように出てきたカレーも、自由自在なものではないようです。

少しむずかしく考えすぎていたみたいですから、と、付け加えて。

まじめな顔で、そう答えます。

少し無理があったかもしれません、とため息をひとつ。

おずおずとたずねてきました。

改めてアーシェの姿を眺め

言葉を切ると、闘技会のリストに視線を下ろし

アーシェの言葉に頷き

　
　　　　　　右手に、魔術力場を形成した。