取り出したネクターは爛々と輝くように露を落とし、みずみずしい色を示す。
その手が触れようものでも、偽はきっと拒まなかった。一歩も引かず、あなたを見つめる。

花を植えたらどうなるか。種を植えればどうなるか。

まくしたてた言葉で圧迫する。囁く妖女の様に、蛙を睨む蛇のように。
勇者を試す魔王の様に。あなたを、蜥蜴の学者殿をまじまじと眺めていた。

一瞬しまったという顔をして、困ったようにゼゼの顔をみた

好きなだけペタペタと触ったあと、むむぅと小さく唸り

心の中で言ったつもりなのだろうが、思いっきり口に出して言った

　

考えを改めよと言われたので、
そういうものかと取り敢えず頷き、この話題は口にすまいと秘に誓うことにする。

比較的覚えられ難い響きの名であることを自覚しているのか、
バリオの悪意なき呼び間違いに、引っ掛かりを覚えた様子は全くないようだ。

時には母とともに旅をし、故郷から離れた人気の少ない土地で暮らし、
隠遁生活と表しても誤りでないような知人の家へ身を寄せ――、
年の割にあちこちを渡り歩いてきたユクリットは
逆にその土地に長く根付いている者だからこそ知ることの出来る知識にやや疎い。
ある一つの物事が土地に住む多くの者を動かすという話が何で以って保たれているのか、正直未だピンと来ないのだった。

ただ素早く繰り出されるだけではない。
幾度も同じ鍛錬を繰り返してきたのだろう、それ故の、狙いにぶれのない動き。
ある種の美とも言えるその演武にただ見惚れるでも、見慣れぬが故に慌てるでもなく、
ユクリットはじっと目で追い続ける。

如何なる状況でも平静を保つことは至極苦手、
練習試合と分かっていても時には妙な悲鳴を上げることのある彼女だが、目はそう悪くはない。

ゼゼが全ての型を終えたことを悟ると興奮した様子で声を掛け、その言葉の合間に勢いよくお辞儀をした。

果たして言葉にし尽くせるか分からない多くの驚きの中、
特に気になったのは、独特の重心の取り方を見せた尾のことだった。
爬人の尾の動きに合わせるように、自身の尾も時折小さく動かしていたのは、
どうにか自分なりの動きに取り入れられないものかとシミュレーションしていたのだった。
だが、一括りに尾とは言ってもそのつくりはまるで違う。

先ほど元気付けるように言われた、「誰しも得手不得手があって当然」「自分が伸ばしたいものを伸ばせばいい」という言葉を二重の意味で思い返す。
大きく落ち込んではいないが、利点をすぐには活かす方法は見えない。そんな様子を見せた。

未だ、答えを探りつつと言った様子だが、折角の興味を削ぐまいと話し始める。

純粋に凄いぞ！と尊敬している様子だ。

肉食、草食、雑食…花食？そう言いながらしっぽをうねうね。

同族同士協力し合おう♪