―航海日誌八日目―

はてさて。
やっとこさ勝ち星を上げられたり、武器の新調に成功したり、どうにか風が吹いてきたようである。

といっても油断は禁物、この辺りには元王国の騎士が庭師をやっているって噂だ。
庭師とはいえ元騎士、それも副団長。
随分腕が立つそうだが……正直関わり合いにはなりたくないが、さて。

ところでユメの嬢ちゃんたちがはぐれてしまったようである。
探索中にフラフラとどこかへ行ってしまったようだが、どこに行ってしまったのだろうか？
少し心配だ。他の一揆参加者に、目撃情報を募るべきだろうか。
まぁ妖精は飛べるわけだし、そのうち合流できるとは思うが……

どうもこの一行、エンブリオがヒエラルキー上位に位置しがちなようだ。
特に年長組二名がしっかり尻に敷かれているのだから、締まらない話である。

担いでいた銛を、軽く振ってから逆手に持ち変える。
今にも銛を撃ち出しそうな構え。しかし、どこかやる気が欠如しているのも確かだ。

ポケットからの強烈なアッパーカットがいつものようにキーシュの顎に炸裂する

いつも通り飄々とした笑顔を浮かべるケンドリック。
しかしその笑みはどこか固い。

銛を素早く逆手に持ち変え、弓を引き絞るように右手は後ろへ左手は前へ。
深く腰を落とし、“漁”の構えを取った。