一揆の参戦者たちが契約したエンブリオの力は日々開放され強大になっていく。また王城を守り手にも日毎に強力なエンブリオが集結しつつあった。

ゆえに、一揆の参戦者たちは常に修練しなければならなかった。強力になりつつあるエンブリオの性質の研究が必要であり、城攻めでの戦闘の手順を身体に覚えさせねばならなかった。シュガーたちも毎日毎日他のパーティとの模擬戦に励んでいた。

その日も他のパーティの居並ぶ４人と相対し、シュガーは速攻をかけるべく素早く攻撃をしかけた。エンブリオの魔力を増幅させ、一息に相手の間合いまで踏み込み、腰を落とし、渾身の力を力を込めて鳩尾に一撃する。しかし、手応えがない。シュガーの技を受けた初老の男は無表情であったが、シュガーには「何だそれは？」と言っているような気がしていた。シュガーはさらに2度、3度と拳を振るうも、目立ったダメージを相手に与えられた様子はなかった。

シュガーが与えたダメージは速やかに回復され、シュガーは呆然としていると、眩い閃光がした。敵の光属性攻撃であり、シュガーは一撃のうちに吹き飛ばされてしまう。

視界が暗転する。敗北感が湧き上がり、もう立てない予感がしていた。

淵に飲み込まれつつシュガーは思う。こちらの攻撃は一切通らず、相手の攻撃からは大ダメージをもらう。４対４での練習試合に、勝てた試しがない。

敗北だけを重ねて行く。日々強力になりつつある王城の守り手に対抗するために、一揆の参戦者は日々鍛錬を重ねなければならない。だが自分はどうなのだ？鍛錬は重ねている。しかし勝てない。何を間違ったのか。

俺は王には会えない。

シュガーは暗い淵に飲み込まれていく気分を味わっていた。

ハチェットのカバーを外す。硝子の青い目が揺れた。

シュガーは怨霊と会話をしているようです…

シュガーは怨霊と会話をしています…