君に円形の白紙とペン、そして定規を与えよう。
君はその白紙に1本の直線を書いていい。

書けたな？その直線が君の"秩序"だ。
同じことを他の者にやらせたら、長線の位置も長さも角度も異なるだろう。
しかしそれもまた、その者の持つ秩序だ。君のものとは相反するかもしれないが、秩序にかわりはない。

では、同じような作業を100人、1000人、10000人にさせたとしよう。
そうして生まれた沢山の直線を、全て重ねあわせたらどうなるだろうか。
1つ1つは確かな秩序だったその直線が、何も意味を持たないただの落書きになっただろう？
それが、混沌だ。
いや、正確に言えば擬似混沌といったところか。

私達は完全な混沌を生み出すことはできないが、
幾重もの秩序を重ねあわせることで、擬似的な混沌を生み出すことはできる。


----------------------------------day 10----------------------------------

獲物の数は4人。

兵士共を追い払ったところで一旦兵舎を後にし、森へとやってきたところで遭遇した。

人の気配が少なく、妙な魔物だらけだった兵舎とは違い、森は幾分賑やかだった。

兵士は兵士で久々の人型相手だから愉しかったが、所詮は下位の存在。

上位の知性を狩りとる悦びとは比べ物にならない。

獲物を求めてここに辿り着いたが、どうやら正解だったようだ。




さぁ、久々の狩りを始めよう。

　　

　

思考が冷めていく。
だけれど、感情は爆ぜる。
人の命を平然を奪える集団に対しての怒り。
一揆の邪魔をされている事への怒り。

…後は行った先でウンディーネが時間を稼いでくれるはずだ。
幼い子がこの場に居合わせるのは、まずい。

まあいい。今はそんなことを言っている場合じゃない。
気づかれているかもしれないが、この方が相手も都合がいいだろう。

振り返り、向き直る。