［基本］OK.　［戦闘］OK.　

定刻を迎え、アナウンスによって、ワールドスワップの終わりが告げられた。
告げられた勝敗は、半ば分かり切っていた通りのもの。
事前に告げられていた通り、これを以て我々はアンジニティに堕ちる事となる。
初めは逃げ惑い、その後も上手く立ち回る事なんて出来なかった我々だ。
この結末に、文句を言うことは出来ないのだろうけれど。

アナウンスの声は、「反映まで、夢の続きを」と言っていた。
つまりは120日後、このハザマの外の世界で、唐突に人の入れ替わりが発生するのだろうか。
……とはいえ、其処にあるのは偽りだ。
本来の記憶を保持しているのが『こちら側』である以上、ここで起きた出来事も持ち越されると考えたほうが良いだろう。
というか、そうでなければこの考察にも意味は無くなるし……何よりも外にあるのは、眠りについたままのこの身体だけだ。


「……さて、そうなると。まずはどうするべきか」


顎に手をやり、ぽつりと呟く。出来ることはそう多くはないが、思考を止めれば、それは彼女……雪音への裏切りになってしまう。
一人きりでどうにかなるというような、甘い想定はやめたほうがいいだろう。慣れないことではあるが、協力を持ちかける必要がある。
……本来雪音自身の縁は、さほど多くはない。親しい友人がひとり、ふたり、その程度だろう。
そしてそれらの人物は、残念なことに今、此処にはいない。

夢の中で紡がれた縁は、どうあっても持ち越されるだろう。それはある意味、救いとなるだろうか。
結城伐都、彼はこのハザマにおいても、仲間と共に道を切り開こうとしていた。彼との繋がりは、大きな助けになるだろう。
それから、どうにもポンコツの印象は拭えないが……ロッテも一応、熟練の傭兵だと聞く。彼女自身のツテもあるそうだから、そちらに頼ることも出来るだろうか。

他にも多くはないが、取引で世話になった人間もいる。贖罪を求める罪人もいた。彼女にならば、助言くらいは求められるかもしれない。

何よりも、この旅路を共にした仲間達。彼らを知らぬと切って捨てるような真似は、どうにも出来そうもなかった。
眠気に捲かれていた頃は分からなかったが、どうにも私は、情が移りやすいらしい。

……それにしても、不甲斐ない話だとため息が漏れる。私に出来る事なんてたかが知れていると、改めて思い知らされた気分だ。
とはいえ、嘆いてばかりもいられない。
共に連れ立った彼らのために、そして、雪音のために。まずは自分に出来ることを。


「……。……協力。断られないといいな、なんて」

ENo.948 ロッテ とのやりとり