［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

ベースキャンプから離れた廃墟の一角で柔らかな光がドーム状に広がり、辺りをすっぽりと包み込んだ。
それを興味深い様子でみていた迦楼羅は光のベールに触れようとしてはグノウにたしなめられたりしている。
フェデルタはイバラシティの記憶と同じように振る舞う二人の姿を見れば、軽く目を細めた。
が、隣にいるスズヒコの視線に気付けば罰が悪そうに視線をうつした。

「……何」
「別に？」

含みがあるような気がするスズヒコの言葉。フェデルタは、誤魔化すように更に視線を外す。結局、この人の考えてる事を自分が読むことは出来なかったな、とぼんやり考えていると、ベールに包まれた廃墟の中で虹色の筆が踊り出した。
迦楼羅が筆を走らせると、ボロボロだった空間がたちどころに美しい庭園へと上書きされていく。
庭園の中は外と時間の流れが違っている。
フェデルタはそんな都合のいい話、と思わなくもなかったのだが、現にそうなのだからそれ以上何かを思うことをやめた。そもそも、自分の事を神、と言い出すくらいに力があるなら時間の操作くらいお手の物なのだろう。
そうこうしているうちに時間があるなら、とグノウが用意した色とりどりのお菓子が座ったことが無いような豪華なテーブルセットの上に並べられている。
席に着くみんなの様子を見ながら、フェデルタはその一角にある不釣り合いなクッキーを手に取りながら自分の場所に移動する。

「ナレハテクッキーもらうわ」
「　ク　マ　！」
「……お前、絵に才能が片寄りすぎてんだよなあ」

ナレハテじゃなかったとしてもどう好意的に見てもクマではない。芸術の才能がどうしてこの部分には発揮されないのか大いに疑問に思うが、それがわかっているならばとっくにあの従者が上手い事やっているだろうから、まだまだ難しい問題なのだろう。
フェデルタの考えなど知らずにむう、と頬を膨らませる迦楼羅を見ながらクッキーを口にほうり込んでから椅子に座る。普段飲まない高そうな紅茶の香りよりは、素朴なクッキーの味の方が性に合う。なんて思いながら、ゆるやかな時間が流れていった。

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光のベールが溶けていけば、現れるのは赤く染まった廃墟の世界。
なんだか、久しぶりに現実を突き付けられた気分になったフェデルタは、一服させてくれ、と煙草を取り出し少し距離を取った。

「……吸う？」
「いえ」
「なんだよ。せっかく味わかるようになったのに」

近付く気配にフェデルタは振り向きもせず声をかけ、隣まで来た姿を見れば苦笑を浮かべる。
それにたいしてグノウはほとんど表情を変える様子はなかった。鉄面皮、という言葉がよくにあう男だが、それでも最初の頃に比べれば幾分か柔らかい顔つきになったようにも思える。

（……見慣れただけかもな）
「何か？」
「別に。相変わらず目付き悪いなって」

冗談めかして笑うフェデルタにグノウの眉間に皺が寄るのが見えた。

「悪かったよ……ま、後1時間もねえ付き合いだ。俊彦の事は、顔合わせたらよろしく頼むけど俺みたいなやつの事は忘れてくれ」

お茶会の時に、自分がいなくなっても吉野俊彦はイバラシティに残る事を伝えた。
家族のいない彼はもしかすれば寂しく感じるかもしれない。その時は、慰めてやってくれと迦楼羅とグノウに頭を下げた。
そもそも、イバラシティがどうなるのか、平穏無事に戻れたとしてハザマとイバラで乖離した記憶や肉体がどうなるのか。そんな事は何一つわかっていない。明かされていない。
アンジニティが優勢な事実は覆る事は恐らくないだろう事から、ともすればワールドスワップが完遂される可能性の方が高い。
けれど、その全てはフェデルタにはどうしようもできないし、どうでもよかった。
もし、グノウや迦楼羅がワールドスワップに合ってしまって全てを忘れていても、吉野俊彦は間違いなく覚えている。彼は既にワールドスワップとは無関係の位置に立てる事が決まっている。
だから、きっと、自分の事を忘れていてもあの少年ならこの主従二人を助けてくれるだろう、という確信もあった。
が、そこまで説明する程丁寧に生きてはきていない。自分勝手な願いだけを告げた。それでいいと思っている。

「……命の恩人を忘れる程薄情だと思っているので？」
「そういうんじゃねえよ！　まあ、そもそも……覚えていられるかってのはわからねんだけどさ」
「それはそうですね。我々は結局、ワールドスワップが一体何だったのか、その糸口をつかむ事すら許されませんでしたから」

私は、それどころでもなかったですし。と澄ました顔でグノウは告げる。つい数時間前にはその五体を乗っ取られ、失い、再生していたから、それどころではなかった――等といったところでこのすまし顔では笑い話にもならないだろう。
処理能力が高いのか、表情筋が死んでいるのか、そのどちらともなのか……と、余計な事ばかりが頭をよぎって来るものだからフェデルタは苦い顔をした。
それを見てグノウは、一度気を取り直すように咳ばらいをする。

「……まあ、ここの記憶を引き継いだとして、私はスズヒコさんのように自分に書き留める事は出来ません。人である限り、記憶はやがて薄れるでしょう」

グノウは己の掌を見つめながら淡々と語る。例えば、自分を助けてくれた、という記憶は残っても、その詳細なものは時と共にどうしたって薄れていく。
それは、人である限りどうしようもないこと。

「……まあ、そうだな」

それはフェデルタ自身もよく知っているものだ。のぼる紫煙を追い掛けながら、淡々とした言葉の続きを待つ。

「……ですが、記憶があれば坊っちゃんはこの思い出を描くでしょう。脳に書き留める事は出来なくても、キャンパスに描く事が出来る」
「……書きはしながいが、描きは出来る、か。確かに、ここで話をした別の絵描きも、ハザマの事を覚えるために絵を描くんだって言ってたな」

年齢より幼く見えた少女の姿を思い出しながら、フェデルタは短くなった煙草を手のひらに握りこんで灰にした。
手を開くと、さらさら、と灰がとんでいく。幾度となく繰り返したこの行為も、きっと、あと数回して、終わるのだろう。
全ての行為に終わりを意識し始めている自分は、きっと、未だに悩んでいるのだ。終わると決めておきながら、本当はどこかで続けられる事が出来るんじゃないか？と卑しくも、意地汚くも、歪な生にしがみつこうとしている。
それでも、生きた証が描かれるかもしれないという話は、少しだけ、そんな気持ちを慰めてくれた。

「……描くなら、かっこよく描いてくれるように言っておいてくれよ。思い出ってのは、美化されるんだろ？」
「……そればかりは、当人次第ですね。貴方のような胡散臭い方、本来であれば坊っちゃんに近付けさせませんので」
「命の恩人に言う言葉かあ？」

なんだよそれ、と文句を言いながらもフェデルタの表情に怒りの色は無い。まあいいや、と大きく伸びをひとつした。グノウは軽く会釈をするとするりとその場を離れていった。
目的地に向かって歩いていく三つの背中を見ながら、フェデルタも歩を進める。
これから先に向かう場所、これから先に戦う相手。もう既に今のワールドスワップにとっては無意味な事かもしれないが最後まで抗う姿勢として選ぶならば、他の選択肢は恐らくなかった。

「……」

時計塔を見上げる。もうすぐ、針が重なり合う。その時に、少なくとも自分の知る人間が、吉野俊彦が知る人間たちが、少しでもいい未来を見れる事を願わずにはいられなかった。

ENo.912 愛夢 とのやりとり

スズヒコ(244) に ItemNo.26 強固な甲殻+1 を手渡ししました。

ItemNo.22 豚バラ塊のママレード煮 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 迫撃45 閃撃52 深手60 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

少女の身体が地に沈み、消える･･･

武術LV を 5 UP！（LV0⇒5、-5CP）
料理LV を 5 UP！（LV93⇒98、-5CP）

魔王(110) とカードを交換しました！

ひまわり畑の幻想 （シャークトゥース）


エアブレイド を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

グノウ(909) は 金の光焔 を入手！
スズヒコ(244) は 桜の光焔+1 を入手！
迦楼羅(931) は 金の光焔 を入手！
フェデルタ(165) は 桜の光焔 を入手！
グノウ(909) は 草色の欠片 を入手！

グノウ(909) がパーティから離脱しました！

迦楼羅(931) がパーティから離脱しました！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

声が響く。