［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

アンジニティ。
否定された者たちが落とされる世界。

否定。
俺はそれがどういう事なのかを未だ理解していない。いや、理解しようとしていない。考えてしまえば、恐ろしい結論に陥りそうだからだ。

ずっと心の片隅に抱えて気づかないフリをして。考えていた。ずっと……



あの日、俺は店を開けるためにテナントを訪れた。眠い。少し冷たい朝の空気を吐き出しながら、ガラガラと重いシャッターを開ければ、いつも通りの一日が始まるのを身体が感じてスイッチが入った。鍵を回し、扉を開けて店内へ。


「動くな。動けば撃つ」


踏み込んだ瞬間、耳元で声がした。そのまま力づくで押さえつけられ、床に組み伏せられる。複数人。抵抗はできなかった。

泥棒だと？ 咄嗟に考える。防犯通報システムは？ なんとか首を捻り店内を見渡すも何も手をつけられていない。違和感しかなかった。身の危険を感じる中で、その違和感は不思議と俺を冷静にした。こいつら…… 俺が目的か？

そうであれば尚のこと、派手な動きは出来ない。こいつらが俺に押し付けている武器で蜂の巣にされながら街中を逃げ出したとして、その後の事は考えたくもない。今はまだ、ダメだ。

一人が誰かと通信している。簡潔で短い報告。訓練された上下関係のある組織、思い当たるのは軍だろう。

おかしい。この国の連中は殆ど他種族の存在を認知していないが、それは文化レベルでの話であって法的には異なる。多くの国民は歴史をよく知らず俺たちのことも滅んだと思っていて、ただ忘れているだけだ。実際滅びかけているからそれは正しいのだが。

まがりなりにも国連加盟国であり国際人権法に批准したこの国で、他種族というだけで大っぴらに俺を捕らえることはできない。ヒトでないことが明るみに出た俺が平穏に生きられるかは別として、少なくとも世界の建前上はそうなっている。軍を動かすとなれば尚更だ。そもそも民間人をいきなり軍がってのもおかしい。

聖絶団ならわかる。だが、連中は捨て身のテロリストみたいなものだ。こいつらは彼らとは異質に思えた。硬質な……聞きなれないアクセントもその考えに……アクセント？ まさか？




そこまで考えて、俺は激痛に気を失った。





気がつけば、俺は拘束されていた。

捕らえられた理由が俺がヒトではないからなら、あくまでヒトとして振る舞えば。そう考えた日常を捨てたく無い故の甘さからこのザマだ。

ツノと尾を封じる三つで一組の輪は俺が最後の群れを出る時に託されたアーティファクトだ。これは異空間にそれらの部位を隔離し、魔力をヒトのものに偽装する。要するに空間を操る術が仕込まれた、伝説級の無限袋なんかの亜種みたいなものだ。

この輪にはもう一つ術が仕込まれている。輪一個につき一回。一組で三回だけ使える転移の秘法だ。幼い俺が群れから逃がされるときに最初の一回。戦時中にしくって一回。だからあと一回だけ残っている。

連中はアーティファクトの存在に気づいていないか、気づいていてもどうにもできなかったらしい。

連中は俺のヒトならざる者としての肉体を手に入れたいのだろう。正規の手段で輪の封を解かずに俺を殺してしまえば、それは手に入らないのだから。

監視の目を盗み、頃合いを見て残り一回の転移を使ってでも逃げる。幸い、ここが転移も不可能なほどの結界の内部にある可能性は低い。出入りしている兵達が普通に通信機器を使っていたからだ。そうでなくともヒトのそれと体系を異にする術を完全に阻止するのは難しい。

なんだかんだで、今までみてぇにいい感じでなるように生き延びて、まぁなんとかなるだろう。アリスにだって、すぐにまた逢えるさ。




今思えば、あの落ち着きも正常性バイアスってやつだったんだろう。ハザマにいる今も、そうかもしれない。

なんとかなると思っていたんだ。




──アリステアが共に捕らえられていると聞かされるまでは。




それからのことは……
いや、思い出さなければならないな。


繰り返される肉体的苦痛。

彼らの話す言葉と訛りから、こいつらの所属は想像がついた。神聖聖絶団を裏から支援していると噂のあった北の独裁国。未だ禁術兵器を所持し、強硬な外交姿勢を崩さない、トチ狂った連中だ。

アリステアを言わば人質に取られ、俺は逃げる事ができずにいた。

俺が強引に拘束を破壊し、目の前の兵士を食い殺して、アリスを助けに行く…… ティーン向けの小説なら王道展開だろうが、現実はそうはいかない。大量の現代兵器相手に敵うほど俺は強くないし、彼らは俺の肉体を必要としてもアリスのそれはわからない。俺が怪しい動きをした時点でアリスはすぐに殺される可能性があるのだ。尤も、こいつらの国のやり口を考えればアリスは政治的なカードとして使われる為に生かされている可能性が高いが。

思いつく限り、ひとつだけ方法がある。どうにかして輪の転移をアリスに使う事ができれば、彼女だけでも逃がす事ができる。しかしその為には術的な強い繋がりが必要だ。弱いパスでは不可能だ。

全身を拘束され声もろくに出せない中、取り得る手段をすべて試すも、彼女の位置さえも知る事は叶わない。




何日経ったのだろう。
気の狂うような逡巡を繰り返す。

早まるな。まだ、望みはある。あるはずだ。機を伺え。いや、アリスは生きているはずがない、生きていたとして、生かされてるとして、きっとまともな状態じゃない。そもそもアリスを捕らえたというのが真実かどうかもわからないじゃないか！ 俺だって死にたくねぇ、アリスを捨てれば俺は逃げる事ができる。綺麗事など役に立たない。アリスを捨てれば俺は……


俺は、すでに狂っていたのかもしれない。

誰かが俺に話しかけている。
目の前の人の形をした生き物からアリスという単語が聞こえて、俺はようやく意識を現実に戻した。


「君はこう考えているな？ 必要なのが自分の悪魔の肉体や能力なら、ヒトのフリをしている限り殺される事はない。アリステア・シェフィールドは交渉を進めるために生かされるだろう。如何にも、それは正しい。ついさっきまではな」

「………！」

「酷い形相だな。ああ、口を拘束していたか。ま、君から聞き出す必要も無くなったのだよ。純血とは言わないまでも極めて濃い血を持つ、あらゆる思想に汚染されていない無抵抗の悪魔がいずれ我々の手に入るのだから。私としては純血より興味深い存在だな。英雄の血筋と悪魔のあいの子など…… 我々よりよほど君の方が禁忌の実験に手を染めているじゃないか。というわけでだ、君はもう」


ガチガチと音を立てていた拘束具が鳴り止む。


「おや？ その様子では知らなかったのか。避妊の術は母体が自分にかけるものだからな。彼女は嘘をついたのだろう。英雄どころかとんだ魔女だな……」



俺が必要じゃなくなったとばかりに、人の形をした生き物が漏らした情報。アリスは俺の子を身篭っている。驚きはあれど、そこから得た答えはひとつ。俺はすぐに行動に移した。


『──輪よ、繋がりを元に』


声に出さなくとも魔力をもって心の内に唱えれば、アーティファクトは所有者に応える。ツノとのパスが繋がり、膨大な本来の力が流れてくる。

目の前の生き物が驚きを露わにし、訓練の賜物か反射的に警報を発動する。周りの兵も様子がおかしいことに気づく。だが、数秒あれば十分だ。

パスは……見つかった。自分自身の他に、これほど強い繋がりは無い。あまりにも俺に似ている存在であるために見過ごしていたのだ。それは百三十年ぶりかに出会えた俺の同族だった。

すぐさま輪の所有者を書き換える。転移先は俺とアリスと主任クン、いや、今は所長だったか。三人で購入した南島のペンションに設定されている。何かあればそこに行く、そう三人で約束した。ユーラは事情を知らない事になっているが、俺との契約術が切れた時に何かあったと気づくだろう。研究バカの奴の事だ。俺の事情は推察しているし、政治的思惑が働かない、アリスを任せられる人物として、何より友として信用できる。雑な契約術の関係で、あまり名を呼んでやれなかったな……と、しょうもない後悔が過ぎる。アリスもそう呼ぶものだから主任サンが愛称になっちまったよな。ふふ、こんな時にそんなどうでもいい事を思い出すなんて。

三人で過ごした日々を思い起こした瞬間、三つの輪は床に落ち、甲高い澄んだ音を立てて跳ねた。
兵たちが動き出し輪を捕らえようとするも、すでにここにはない。転移は成功したのだ。


「貴様！何をした！？」

「ツノ、それに獣化だと……？！」

「私が許可する！ 撃て！ 殺しても構わん！」


兵士達は命令に戸惑いを隠せないまま、武器を構え拘束台に向けて発砲した。

俺は全身を覆い隠せる程に尾を膨らませた。分厚いふわふわの毛が銃弾を弾く。生き物の何匹かは混乱に陥り、逃げ出そうとしている。牙に魔力を込め、口枷を噛みちぎった。話せるようになったら文句の一つでもと思っていたが、いざそうなるとこんな生き物にかける言葉は見つからない。

俺は拘束台の上から連中を見下ろした。

使命感か、偉そうな奴と何人かはまだ残っている。すぐに増援がくる、そんな希望もあるのだろう。実際、俺に時間は無い。熊も殺せないようなこんなチャチい弾ならなんとかなるが、マジで軍隊が動き出せば、いずれ俺はなす術なく死ぬ。ファンタジーじゃねぇんだからな。だが、アリスを追う手を少しでも遅らせるにはここで俺が暴れた方がいい。

動き出そうとするも俺を貼り付けにしている拘束はびくともしない。力づくで抜け出すのは流石に無理そうだな、と諦める。死ぬほど痛いがやるしかねぇか…… 術で自分の四肢を焼き切り、元通りに接続。すぐにこいつらを殺して、出来る限り被害を大きくする。やる、しかねぇ。よし。


「ぐ、がぁ、んがあああアアーー！」


銃弾と煙の向こう、絶叫が響いた。


「効いているぞ！」

「生命反応、まだあります」

「まだだ、このまま、攻撃しろ！」


獣のような絶叫。それは尾を盾とすることを諦めたのか、もはや四肢は銃撃の前に千切れんばかりとなっている。兵たちは勝利を確信し、恐ろしい悪魔に立ち向かう自らを鼓舞するために雄叫びをあげた。

やがて煙が晴れる。


「やったか？！ ぁｧ？ グぴぇ」

「やってねぇよ。クソッ、痛ぇ」


俺は自由になった身で生き物だったものを握り潰し、その肉を喰らった。


「不味い…… まずすぎる。トリスパの鳥まんが食いたい……」


生き物の生肉を喰らう事でも僅かに生命力を得ることはできる。けれどそれは互いに認め合いパスを繋げて得られる輝きに比べれば便所の汚水のようなものだ。だが今はその汚水を啜ってでも回復する必要がある。

この部屋にいる生き物はすべて殺したが、既に出口の向こうが騒がしい。自分があとどれだけ生きられるか、どんな最後を遂げるか。俺には何もわからなかった。


「ま、なるようになるさ」


周囲を探る。対象は、もういない。今頃、母体と共に遠く離れた南の島にいるだろう。


「さよならだ、アリス。幸せにな。生き延びて、人として二人で、ああユーラもか。三人で生きてくれ」


窓のない部屋を出る。暗い通路の向こうに兵の群れが見える。


「じゃ、いくか」



♦︎



「──三人で、生きて、
　……





「起きろ、出立の時間だ」


夢と現の狭間。
呼びかけに見上げれば、ジツの横顔。
その隣でチカギは不思議そうに俺を覗き込んでいる。


「……何？
　そんなに俺らの事大好きかよ。生きてねーけど、この戦争が終わるまでは居てやるからさー、イツ」


何の話だ？ 言いかけた俺に、チカギは少し小馬鹿にしたように笑う。


「イツはナレハテにはならない。チカギもだ」


続けて、先を行く背中から聞こえた言葉。
そこに込められた決意は俺の目を覚ます。
……ああ、そうだ。


「悪ぃ、起きた…… ん？ ジツ拗ねてんの？ オィ、待てや！」


俺は二人を追いかけた。

ItemNo.20 さくらこんぶ茶 を使用しました！
　魔香のため、体調は回復しなかった。
　今回の全戦闘において 攻撃46 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

くもよび(751) から 1 PS 受け取りました。

くもよび(751) に 1 PS 送付しました。

現実(1152) から 1 PS 受け取りました。

現実(1152) に ItemNo.11 オパール を送付しました。

現実(1152) から 金の光焔 を受け取りました。

百薬LV を 5 DOWN。（LV28⇒23、+5CP、-5FP）

領域LV を 10 UP！（LV20⇒30、-10CP）
付加LV を 5 UP！（LV83⇒88、-5CP）

ItemNo.13 金の光焔 から光飾『星々を繋ぐ輪』を作製しました！
　⇒ 星々を繋ぐ輪／光飾：強さ319／［効果1］光纏50 ［効果2］－ ［効果3］光纏19

ひやこ(453) の持つ ItemNo.46 活力漲る魔力溢れる滑々な星屑 から装飾『兎の車キーホルダー』を作製しました！

サイタマ(884) により ItemNo.17 ものすごいお肉 から料理『スペシャルぱわー焼き肉』をつくってもらいました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 6 5 1 = 12 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 技巧料理！［ 3 6 1 = 10 ］成功！料理の強さが増加！
　⇒ スペシャルぱわー焼き肉／料理：強さ654／［効果1］攻撃56 ［効果2］防御56 ［効果3］増幅56

現実(1152) の持つ ItemNo.11 活力漲る魔力溢れる滑々な変な本 に ItemNo.12 ものすごい木材 を付加しようとしましたが、指定アイテムが装備品と素材ではありませんでした。

現実(1152) により ItemNo.13 星々を繋ぐ輪 に ItemNo.11 金の光焔 を付加してもらいました！
　⇒ 特質強化！効果3のLVが19増加！
　⇒ 星々を繋ぐ輪／光飾：強さ319／［効果1］光纏50 ［効果2］光纏50 ［効果3］光纏38

みづち(1600) とカードを交換しました！

涼風の便り （オアシス）


エラト を研究しました！（深度0⇒1）
レインフォース を研究しました！（深度0⇒1）
ダインスレイフ を研究しました！（深度1⇒2）

デコイ を習得！
ブリリアンス を習得！
アジール を習得！
メンブリュウ を習得！
ルミネセンス を習得！
奇想天外 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

イツ(990) は 純菜 を入手！
イツ(990) は 刀の欠片 を入手！

マシカ区 G-4（草原）に移動！（体調21⇒20）
マシカ区 H-4（草原）に移動！（体調20⇒19）
マシカ区 I-4（沼地）に移動！（体調19⇒18）
マシカ区 J-4（沼地）に移動！（体調18⇒17）

現実(1152) からパーティに勧誘されました！

MISSION!!
マシカ区 K-4：マシカ駅 が発生！
　　 - くもよび(751) が経由した マシカ区 K-4：マシカ駅
　　 - イツ(990) が経由した マシカ区 K-4：マシカ駅
　　 - 現実(1152) が経由した マシカ区 K-4：マシカ駅

［803 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［437 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［472 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［202 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［398 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［330 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［271 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［197 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［142 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［154 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［309 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［48 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［226 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［102 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［110 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［110 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［58 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［88 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［15 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［41 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［90 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［100 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［18 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

どこかの森のなか。

　





　

大きな木に寄り掛かり座る３人。

　













　

　







　

明るい声で話すふたり。




ふたりの手などを一瞥し、上を向き静かに息を吐く白南海。

　

　

　










　








そう言って立ち上がり、その場を去る白南海。

　












　

　

　

チャットが閉じられる――

マシカ駅。

広々とした駅前に、神々しい光――

　



　

ゆっくりと近づいてくる。