［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

//side:イバラシティ


「君には近日、離れに移動して貰うことになった」
「はあ、左遷ですかね？」
「違う」

長らくの勤め先で、広義では同僚でもある夫から話を聞いて、女――咲乃は困ったように頬に手を当てた。
会社であれば本社がエリート意識高くなりそうなところ、この職場では本家、尚且本邸勤めが優秀さの証のようなものだ。
勤務年数はそこそこ長く、大きな不手際を起こさないで今日まで来た筈だ。
否定されても原因が思い当たらず、ただ首を傾げるのみである。

夫は苦み走った顔で、二人腰掛ける従業員用区画の縁側から、庭を見る。
従業員用の小振りな庭とは言え、整えられたそれは美しい。
話の先を促すように、咲子はその顔を仰ぎ見た。

「……お嬢さんがな、子を、孕んだようだ」
「あら、まあ」

単語を区切り区切りに言う夫の顔を、まじまじと見る。
お嬢さんと言えば、咲乃の職場でもある椿坂本家のご令嬢だ。
見た目は人形のように美しいけれど苛烈な人で、下働きの、とりわけ若い女には辛く当たる。
一部に強烈な信奉者がいると聞くけれど、そんな信奉者は大体男であるので、結局の所世話人として側に置くことは出来ない。
お陰で人員の配置にも気を遣うけれど、咲乃は運のいいことに気に入られている方だ。
既婚者であるからか、咲乃の地位を脅かさない見た目だからか、彼女の好物の豆大福を卸すのが咲子の実家だからか――主に後者だろうか。
あとは、極々微弱な治癒の能力で彼女の爪の手入れをしたり、ささくれを治したりしているのが効いていると見ている。

「婿様と離れに入られると言うこと？」
「……婿には来んだろうな。むしろ結婚も難しい」
「あら……」

何やら難儀な事情がありそうだと当たりをつけながら、敷地内の地図を頭の中で広げる。
本邸を中心に、何とかドームいくつ分で表現されそうな敷地内に点在する建物群。
本邸に離れ、従業員用の宿舎もあるし、咲子の把握していないものも多数存在する。
出来れば勤務しやすく、昼休憩時に夫と落ち合える距離がいい。
恋愛結婚だもの、と誰にするでもない言い訳をしながら、あっちかこっちかと思いを巡らせる。
そこで、思い当たるものがあった。

「そう言えば、敷地の端の端に、何かを建てるって」
「金に糸目をつけずに、急ピッチで建設中だそうだ。近日中に出来上がるだろうな。……離れが」
「離れ」
「離れているよなあ」
「離れですからね……」

もはや言える言葉はそれだけである。
あの、かなり離れている場所に建てられるそこに、どうやら自身は勤めることになるらしい。

「お昼、一緒に食べられなくなりますかね？」
「走ってくる」
「あら」

うふ、と微笑んで、それならいいわ、と弾むように付け足した。
そうなると、いよいよ移動の理由が気になるところだ。
自身は既婚で経産婦であるので、乳は出ないけれど乳母として引き上げられるのかもしれない。

（あの方は、育児なんてしなさそうだものね。むしろ好んで子供を持つような人ではない気がする）

さすがに口に出来ないことを心の中で呟いて、ひとつ頷いた。
それから、再び庭を見る。
外界から隔絶されたようなこの場所。
何も知らなければ、美しい場所。
その美しい場所の中心から離された場所に住むことが、生まれるより前から決まっている子供を思う。

「……経費でカメラって買えるかしら」
「何だ、藪から棒に」
「だって、あのお嬢様のお子様ですよ。きっと、とても可愛らしい子です。朔太郎にしたように、思い出を作っておかないと」

自分達の子供を例に出して言う。
きっと、世話することになる子供は難しい立ち位置になるだろう。
異能が尊ばれる傾向が強いこの場所で、好まれる異能があった場合、より厳しいことになるに違いない。
まだ庇護されるべき年齢の子供が、荒んだ目で歩いているのを見たことがある。
それを思い出せば、建設中の離れは檻のように思えてしまう。
目を留められない、咲子くらいの弱い異能のほうが生きやすい気がしてしまうのだ。

「上に言っておこう」
「ええ。よろしくお願いしますね。たくさん撮って、いつか成長したお子様に『あの頃はこんなに可愛らしゅうございましたよ』とどっさり渡して差し上げましょう」
「……アルバムや、本棚もお願いしておこう」
「うふ。頼りになる旦那様ですこと」

ころころと笑って、空を見上げる。
自身がこうして頼れる相手を見つけたように、生まれてくる子供にも、そう言う相手が見つかればいい。
まともが少ないこの場所で、ちょっとだけまともな大人でいようと、心に決めた。

それは、赤い目の赤子が生まれる、数ヶ月前の出来事だった。


//


「坊っちゃんはお元気？」
「おお。そこそこ元気にやってるよ」
「もっと帰ってきなさいな、あんたも」

ばしんと背中を叩かれて、ごふ、と各務はむせた。
取り落しそうになったアルバムを、どうにか丈夫な紙袋に押し込む。
筆まめならぬ、撮影まめな母によって撮影されたアルバムは、かなりの量がある。
勿論自身のものも含まれているけれど、今対峙しているのはクウィリーノのものだ。

乳母と言うべきか家政婦と言うべきか、育児をほとんど引き受けたのは各務の母だ。
両親は共に母曰くの悠々自適な老後生活を送っている最中で、椿坂での勤めから退いている点はとても胃に優しい。
そのことに内心ほっとしつつ、新たに引き出したアルバムをめくる。
今となっては懐かしいフィルム撮影の写真は、年月を感じる色褪せがあっても鮮やかだ。

「今度、これ見せたい……見せたほうが良い子がいてね」
「ふうん？　きっと優しい子なのね」
「そうだと思う」
「あら、まあ」

くしゃりと笑う母に曖昧に笑い返しながら、少しだけしんみりとする。
壊れていく姿を間近で見ていたのだ。
より深く関わろうにも、上がそれをよしとしなかったと聞いている。
もしかしたら、母には相応の叱責や罰さえもあったかもしれない。
赤子の頃から関わっていた母の心労はいかばかりか、察するに余りある。
ただ、離れから引き上げてきたこのアルバムの冊数を思うと、心労を発散する術は持ち合わせていたのだろう。
自身のアルバムが薄っぺらに見える。

「坊っちゃんに、よろしく伝えて頂戴ね。くれぐれも、粗相の無いように」
「あー、はいはい。むしろ俺が世話してやっているから」
「あんたは、もう」

ばしん、とまた背中に一発食らいながら、母がアルバムを覗き込むに任せる。
ああこれ、神社にお参りに行った時ね、こっちは幼稚園の制服姿、と指差す。
それから、ふ、と微笑んだ。

「程好き頃に、坊っちゃんにもアルバムを渡して差し上げて。きっと、誰かと見るのも楽しいでしょうから」
「わかった。……多分、もう、大丈夫だと思うから」
「……そう。そうなのね」

撫でるように写真に指を滑らせて、沈黙が落ちる。
がさりと、続き部屋で父が新聞をめくる音が響いた。
愛妻家による、母を泣かせるなアピールである。
少しげんなりしていると、ぱっと母が顔を上げた。

「お渡しする際は、『あの頃はこんなに可愛らしゅうございましたよ』と伝言を頼めるかしら？」
「俺に死ねと？」

母はあははと快活に笑って、また各務の背中をばしんと叩いた。

ItemNo.12 羽 を破棄しました。
ItemNo.23 駄物 を破棄しました。
ItemNo.11 黒玉のピアス を破棄しました。
ItemNo.18 何か柔らかい物体 を破棄しました。
ItemNo.15 皮 を破棄しました。

ItemNo.32 肉の牛蒡巻 を食べました！
　体調が 1 回復！（25⇒26）
　今回の全戦闘において 攻撃14 防御14 増幅14 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

使役LV を 25 DOWN。（LV40⇒15、+25CP、-25FP）
合成LV を 36 DOWN。（LV71⇒35、+36CP、-36FP）

変化LV を 30 UP！（LV10⇒40、-30CP）
武器LV を 41 UP！（LV0⇒41、-41CP）

雪里(1373) により ItemNo.5 闇色のスーツ に ItemNo.41 ぶにゅぶにゅ を合成してもらい、闇色のスーツ を強化しました！（+40）
　⇒ 闇色のスーツ／法衣：強さ258／［効果1］闇纏35 ［効果2］体力45 ［効果3］幸運38

ItemNo.8 黒猫面 に ItemNo.22 紫水晶 を付加しました！
　⇒ 黒猫面／聖衣：強さ283／［効果1］攻撃40 ［効果2］攻撃40 ［効果3］－

雪里(1373) の持つ ItemNo.26 インヴェルナーレ に ItemNo.4 チャート を付加しました！
チュイ(1519) の持つ ItemNo.3 春色のケープ に ItemNo.8 杏 を付加しました！

うさ子(266) とカードを交換しました！

ENo.266 （デウスエクスマキナ）


ハイパージョーク を研究しました！（深度0⇒1）
ハイパージョーク を研究しました！（深度1⇒2）
ハイパージョーク を研究しました！（深度2⇒3）

グラトニー を習得！
シュロム を習得！
キャリオン を習得！
デスラッシュ を習得！
呪器作製 を習得！
千変万化 を習得！
ムスケルクラフト を習得！
モルダー を習得！
放歌高吟 を習得！
戦盾作製 を習得！
ナタナエル を習得！
超絶英雄 を習得！
メメントモリ を習得！
スペシャルタイム を習得！
強化合成 を習得！
アルティメットフォーム を習得！
メガトンパンチ を習得！
アンダーテイカー を習得！
カタストロフィ を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

クゥ(1372) は タンザナイト を入手！
雪里(1373) は タンザナイト を入手！
チュイ(1519) は 黄水晶 を入手！
チュイ(1519) は すごい羽 を入手！
クゥ(1372) は 金の光焔 を入手！
クゥ(1372) は 金の光焔 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
チュイ(1519) のもとに ケツァルコアトル が軽快なステップで近づいてきます。
チュイ(1519) のもとに シンデレラ が空を見上げなから近づいてきます。

タニモリ区 D-16（山岳）に移動！（体調26⇒25）
タニモリ区 D-17（森林）に移動！（体調25⇒24）
タニモリ区 D-18（森林）に移動！（体調24⇒23）
タニモリ区 D-19（沼地）に移動！（体調23⇒22）
タニモリ区 D-20（沼地）に移動！（体調22⇒21）

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［436 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［482 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［149 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［311 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［47 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［224 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［94 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［104 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［84 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［13 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［37 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［76 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［71 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［15 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。