［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

バイト先から帰宅したら、玄関前に姉がいた。


***


「結構きれいにしてるんだね」

部屋に上がった姉は、興味津々といった様子で部屋の中を忙しなく見回している。
見られて困るような物は何もない筈だけれど、何だか落ち着かない。

「あれ、なぁにこれ。……ふふ、かわいい。誰に描いて貰ったの？」

姉が目を留めたのは、様々なものが飾られた棚の上。
お祭りグッズに、誕生日に貰ったプレゼントの数々。
その他にも、その一角には思い出の品が幾つも飾られている。
姉が言ってるのは、チュイちゃんが誕生日に描いてくれた絵のことだ。

「お世話になってる中華料理屋さんの娘さんが描いてくれたんだよ。料理も本当に美味しくて、よく通ってるんだ」
「へええ……仲良くしてもらってるんだねぇ。いいなぁ、私も中華食べたいな」

いつか機会があったら、燈灯に姉を連れて行くのもいいかもしれない。
店主さんが作ってくれる料理はどれも本当に美味しいから、姉もきっと喜ぶだろう。
チュイちゃんともあっという間に打ち解けて、案外すぐに仲良くなれたりするのかもしれない。

「このヨーヨーは？　新しいの？」
「ううん、去年の夏の。萎まないようになってるんだよ」
「そんなのあるんだ」
「元は普通のヨーヨーだけど、それは特別製だから」

ふぅん、と返ってくる気のない返事。
どうやら姉の興味はすでに別の物に移っているようだ。

「珈琲でいい？」
「うん、ありがとう」

相変わらずきょろきょろとしているけれど、棚を見終わってしまえば後はもうこの部屋に見所はない。
とりあえず使っていないクッションを渡して、キッチンへと向かった。

「……それにしても、急に来るなんてどうしたの？」
「ウラドに用事があってね。折角ここまで来たから、雪里の顔も見ておきたいなーって」
「俺はこの通り、いつも通りだよ。イバラインでも連絡してるのに」
「そうだけど。イバラインの相手が雪里のふりした別人かもしれないし」
「そんなわけないでしょ」
「ふふ」

姉の方を見ると、ローテーブルの前に座ってにこにこと笑っている。
急に来るから何かあったのかと思ったけれど、どうやらそういうわけではないらしい。
内心で少しだけ、ほっとした。

「珈琲淹れてもらうの、久しぶりだよね」
「そうだっけ……」
「そうだよ」

何気ない会話が途切れれば、電気ケトルのこぽこぽという沸騰音だけが響く。
子供の頃は二人でいることが当たり前だったのに。
いつからか、それが当たり前ではなくなっていた。



ローテーブルに置いた珈琲とお菓子。
実はどちらも頂き物なのだけれど。
それを話したら、姉は何だか嬉しそうにしていた。

「あ、そうだ！　ねぇ見てこれ！　ほら！」
「！？」

姉がバッグから取り出したのは、カメリア清掃株式会社のパンフレット。

「えっ、なんで！？」
「貰ってきたの」
「どこで！？」
「カメリアの本社で！」
「カメリアに行ったの！？」

愕然とした。
まさか。
まさか、菓子折りとか持って。

「ふふ、ちょっとロビーに入ってみただけだから。別に誰ともお話してないし、安心して」

強張った全身から、一瞬にして力が抜けた。
よかった。
うちの弟がお世話になってます、なんて言いながら、お忙しい社員の皆さんにお菓子を配り歩いたりしていなくて本当によかった。

「想像以上に大きな会社でびっくりしちゃった。雪里もお掃除してるんだよね？」
「うん。個人宅とか、施設とか、他所の企業の社屋とか、色々なところで。社内での清掃もしてるよ。……清掃の仕事以外だと、おやつ棚の補充とか」
「おやつ棚？」

思った通り、やっぱりそこに食いついた。
もし逆の立場だったら、俺もおやつ棚には食いついていただろうけれど。

仕事の話や、社員さんの話。
尋ねられるまま、カメリアのこと、カメリアでの様々な出来事を話した。
姉が最も興味を示したのは、おやつ棚と食堂の話。
どうやら食いしん坊なのは相変わらずみたいだ。


「……あ、ねぇ、社長さんには会ったの？」
「！」
「まだお若いのに、こんな大会社の社長さんだなんて。凄いよね、きっと沢山努力されたんだろうな」
「そう、だね」

一瞬、心臓が跳ね上がった。
色々な話をしたけれど、社長のことは話していなかったから。
別に社長のことを隠そうとしていたわけじゃない。
聞かれないから、黙っていただけだけで。
……いや、それは隠そうとしていたのか。
何だか動揺してしまって、心の内でよくわからない自問自答を繰り返す。

「そうそう、この人！」

差し出されたパンフレットの一箇所に、姉の指が向けられる。

「……うん」

わざわざ指を追わなくてもわかる。
このパンフレットのどこに社長がいるのかなんて、もうとっくに覚えている。
改めて視線を向けてみても、そこにあったのはやはり見慣れた写真に映る社長の姿だった。
何度見てもいつもの社長とは違って見える、不思議な写真。
初めて見た時は何とも思わなかったのに、月日が経つにつれ、次第に違和感を覚えるようになった。
だって、社長はもっと優しく笑うから。

「……」
「……」
「…………で？　どんな人なの？」
「……………………………………えっ！？」

しまった、ぼんやりしていた。

「え、えっと、すごくいい人で……」
「うんうん」
「……」
「それで？」
「…………。…………あっ」

更にしまった。
社長のことを話すつもりはなかったのに。
会ったことも無いていでいこうと思っていたのに。
ずるい。
引っ掛けだ。
会ったことあるなんて一言も言っていないのに。
みるみる顔が熱くなっていくのがわかる。

「ねぇちょっと、続きは？　すごくいい人で？」

圧が凄い。
これまでの経験上、わかっている。
こういう時の姉からは、絶対に逃れられないことを。

「……。……いい人、で。それから……」

観念して、ぽつりぽつりと社長のことを話し始めた。

類稀なる行動力と実行力、そして決断力。
従業員の声もしっかりと聞いて、それに応えてくれる懐の深さ。
食堂に作られたファミリー席の件や、チュイちゃんと一緒にスイーツをご馳走になったこと。
マシカの夏祭りにカメリアが出店したときには、自ら視察に出向かれていた。
出店で働くスタッフさん達には、沢山の差し入れもご用意されて。
それから、カメリアの社員さんは学歴よりも実力が重要視されているようで、それも社長のご意向なのだとか。

「あとは、ええと……」

本当ならもっと、もっと他にも沢山あるのに。
話すエピソードを慎重に選んでいるせいで、思うように言葉が出てこない。
レクリエーションルームでの鳥の巣ソファでのことや、醸造場に連れて行ってもらったときのこと。
初詣に行ったり、肉パーティーをしたり。
二人でお出掛けして、二人で過ごしたときのことは沢山あるけれど。
でも、それらはずっと誰にも言わないようにしていた。
社長のプライベートにも関わること、だと思うから。
人に話してはいけないような気がして。

「……他にも色々あるんだよ。本当に、沢山。……沢山ありすぎて、逆に出てこないっていうか……」

幾ら写真の中の社長を見ていても、蘇る思い出は二人だけのものばかり。
まだ伝えられることがある筈だ。
ある筈なのに。
……ありますよね？
写真の中の社長に、心の中で問い掛けた。


「………………んー……そっか、わかった」

必死で頭をフル回転していた最中、不意に届いた姉の声。
まるで話を切り上げるかのようなそれに、思わず顔を上げた。

「ふふ……変わってないね、雪里」
「え、……何が？」
「懐かしいところが」

先程まではもっと明るい表情で、社長に興味津々な感じだったのに。
まるで謎掛けのような言葉を最後に、姉はそれ以上話を続けようとはしなかった。
でも、笑っていた。
笑っていたけれど。
どこか困ったように、笑っていた。


***


『本当はね、こっちに戻ってこないかなーって、ちょっと期待してたの』

玄関で靴を履く姉から、背中越しに向けられた言葉。
振り返った時には、昔と変わらない笑顔を浮かべていて。

『……頑張ってね、雪里』



一人になった部屋の中。
ローテーブルの上を片付ければ、いつも通りの部屋の中。
ベッドに倒れ込めば、天井もまたいつも通りの天井だった。

姉の期待に応えられなかったのは何度目だろう。
もう戻らなくてもいいってことなのかな。
ウラドから離れる気がないと思われた？
確かに、今はまだ離れるつもりはないけれど。
カメリアについて熱く語っていたから？
それについては、まだまだ言い足りないぐらいで。
……あれ、熱く語っていたのは、カメリアの話だったかな。


一人になってどっと疲れが出たのか、急激に眠くなってきた。
まずい。このまま眠ってしまったら、きっと朝まで起きられなくなる。
まだまだ今日の内にやっておきたいことがあるのに。

「んん……」

寝転がったまま伸びをすれば、手の先に心地よい肌触りのものが触れた。
この感触は、ふかもこの部屋着だ。
今日も早くこれを着て、ゆっくり眠りたいな。

「……」

「…………」


「……………………待って部屋着出しっぱなしだった！？！？」


自身には不相応な高級ふかもこ部屋着。
しかも犬耳付き。
一気に眠気が吹っ飛んだ。


どうか。
どうか姉には見られていませんように。

ItemNo.10 霞の髪留め を破棄しました。

ItemNo.6 シンプル肉丼 を食べました！
　体調が 1 回復！（25⇒26）
　今回の全戦闘において 攻撃15 防御15 増幅15 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

幻術LV を 15 DOWN。（LV15⇒0、+15CP、-15FP）
響鳴LV を 30 DOWN。（LV40⇒10、+30CP、-30FP）

魔術LV を 40 UP！（LV0⇒40、-40CP）
時空LV を 10 UP！（LV0⇒10、-10CP）
合成LV を 5 UP！（LV71⇒76、-5CP）

チュイ(1519) の持つ ItemNo.3 春色のケープ に ItemNo.6 書類+1 を合成し、春色のケープ を強化しました！（+22）
クゥ(1372) の持つ ItemNo.5 闇色のスーツ に ItemNo.41 ぶにゅぶにゅ を合成し、闇色のスーツ を強化しました！（+40）

ItemNo.7 お肉 から料理『肉炒め』をつくりました！
　⇒ 美酒佳肴！［ 4 2 4 = 10 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
　⇒ 肉炒め／料理：強さ109／［効果1］攻撃13 ［効果2］防御13 ［効果3］増幅13


クゥ(1372) により ItemNo.26 インヴェルナーレ に ItemNo.4 チャート を付加してもらいました！
　⇒ インヴェルナーレ／呪器：強さ909／［効果1］攻撃40 ［効果2］活力35 ［効果3］自滅19【射程1】

デイジー(1008) とカードを交換しました！

ボンバルディエ （ボンバルディエ）


アグネヤストラ を研究しました！（深度0⇒1）
アグネヤストラ を研究しました！（深度1⇒2）
アグネヤストラ を研究しました！（深度2⇒3）

ウィンドカッター を習得！
エアブレイド を習得！
エアブラスト を習得！
キュアブリーズ を習得！
アジャイルフォーム を習得！
フィックルティンバー を習得！
アゲンスト を習得！
パリィ を習得！
キャノンボール を習得！
バーニングチューン を習得！
コールドイミッター を習得！
リワインド を習得！
ディヴェルティメント を習得！
獄炎陣 を習得！
マナバースト を習得！
スカーレットスキュア を習得！
凍結耐性 を習得！
フレイムインパクト を習得！
星火燎原 を習得！
気焔万丈 を習得！
バーニングカード を習得！
魔力素材 を習得！
カーボナイズ を習得！
ファイアプレデター を習得！
ツインコンフリクト を習得！
エンチャントウェポン を習得！
メルト を習得！
カグツチ を習得！
ウァレフォル を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

クゥ(1372) は タンザナイト を入手！
雪里(1373) は タンザナイト を入手！
チュイ(1519) は 黄水晶 を入手！
チュイ(1519) は すごい羽 を入手！
クゥ(1372) は 金の光焔 を入手！
クゥ(1372) は 金の光焔 を入手！

▼エイド化候補（基本行動にてエイド化可能）
チュイ(1519) のもとに ケツァルコアトル が軽快なステップで近づいてきます。
チュイ(1519) のもとに シンデレラ が空を見上げなから近づいてきます。

クゥ(1372) に移動を委ねました。

タニモリ区 D-16（山岳）に移動！（体調26⇒25）
タニモリ区 D-17（森林）に移動！（体調25⇒24）
タニモリ区 D-18（森林）に移動！（体調24⇒23）
タニモリ区 D-19（沼地）に移動！（体調23⇒22）
タニモリ区 D-20（沼地）に移動！（体調22⇒21）

［805 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［436 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［482 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［204 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［402 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［265 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［194 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［118 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［143 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［149 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［311 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［47 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［224 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［94 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［108 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［104 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［84 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［75 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［13 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［37 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［76 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［71 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［100 / 100］ ―― 《黒い渦》不運
［15 / 100］ ―― 《線路》駆逐



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

時計台が映る。

　

　

　

秒針が静かに進む。