［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

……わざわざ自分たちから危ない目に遭いに行く必要なんてないのに。
助けられないかもしれないのに。
見捨ててしまえば、いいのに。
――――そんな気持ちが微塵もないとは、言い切れなかった。


砂利や礫が転がる獣道を、ぬかるんだ湿地を、足に絡みつく蔓を蹴飛ばし、走る。走る。
息はとうにあがっていた。


「なンで一人で行ったんだよッ…………！！」


先頭を切る少年の問いに答える声はない。悪態のような独り言に滲んだのは、非難と懸念と、焦燥。おいしい話を持ち掛けられたから。巻き込みたくないと思ったから。自分だけで助けられると思ったから。それとも、信頼されていなかったから？
憶測だけならいくらでもできる。テストで躓いた設問と同じように、今はそんなものは後回しにする。悠長に考えていられるだけの時間はきっともう、多くはない。
手遅れかもしれない。思考の一番端に泥のようにこびりついた諦観を振り払えないまま、地面を蹴る。

目指すはアンジニティ陣営を示すマークとイバラシティ陣営を示すマークが重なる地点。唯一正解を知る人物――行方をくらませた仲間の足跡を辿って。








辿り着いた、座標に。


「！！！！」


そこには、滔々と、


「――はる、く」


赤く、


「伊藤君！！！ 」


紅い、


「…………」


――血だまり、が


「晴く、ん、――ッ」

「伊藤君！！！　しっかりしろ伊藤君ッッ！！！」


間違いない。横になっていてもふくよかな体躯。その晴くんの上に、緑色の長い髪の女のひとが跨っている。



「――――」


艶やかな髪が流れるように動く。振り向いた女のひとの視線が、こちらを捉えた。その瞬間。


「……ッ！」


蛇に睨まれた獲物、というのはこういう気分なのかもしれない。射貫くような鋭い眼光。それに、これは。
ハザマでそれなりの時間を過ごしてアンジニティと対峙してきた今だからこそ、直感でわかる。

妖気。

目尻にくっきりと引かれた朱色のアイライン。意志、というよりも気の強さ……他の者を威圧する、不遜さを感じさせる瞳。そして一番目立つのが彼女の頭部、向かって右側の額のやや上から覗く、尖形の突起。
おそらく……角。……ひとでないもの。たとえるならそう、鬼。
大きく着崩した着物がより一層妖艶さを醸し出している。口許と添えられた指先にも、目許と近い発色のやけに鮮やかな紅。晴くんの髪や服を濡らしている血と同じ、赤い……


「――――ぇ？」


違う。口紅じゃない。


「なに……して……」


目の前の光景に眩暈を覚えた。不安も。焦りも。刹那にして、すべての思考が頭から消し飛んでいく。
ある意味、これまでそうしたアンジニティに出会わなかったのが幸運だったとも言える。侵略者。より多くの点を稼いだ陣営が勝ち。それが案内人から告げられた、ハザマでのルール。
それ以上もそれ以下もない。良くも悪くも、詳細は話されていない。禁止事項も。
……対陣営の者を打ち負かした後に、捕食する、という行為がなされたとしても。それを秤に掛ける役目を、ルールは担っていない。


「…………っふ、ふふ」


たじろぐ私たちに女性は唇の端を吊り上げる。秀麗な顔をゆがめて、愉しそうに。
笑っている。嗤われている。そうわかっても足がすくんで、咄嗟に動けない。


「――実に無様なものだな」

「……へ」


だから一瞬、彼女の言葉は私に対して向けられたものかと思った。呆然とする私――きっと、アゲハくんも同様――の後ろから響いた、淡々とした声。
間髪入れずにざっ、ざっ、と、前に進み出てくる足音が続く。


「悠吏……ちゃん……？？」


目をしばたかせながら隣を見上げる。声は、悠吏ちゃんだ。
けれど、髪の長さと服と……まとっている空気が、違う。なにより悠吏ちゃんが「無様だ」と形容したのが私ではなく、倒れている晴くんを指したのだとしたら。悠吏ちゃんは、そんなこと言わない。


「テメェか……」


戸惑っている間に、今度は反対側から震えた声が聞こえた。声だけじゃなく武器を握る手も全身も、わなわなと震えている。
恐れからじゃない。怒り。その身から発せられているのは、激しい憤り。


「テメェが伊藤君をこんな目に遭わせたのかッッ！！！」

「他者の食事を邪魔するとは無粋な輩だな。これはまだ生きておる。返してほしいか？」

「……！！」


女のひとの言葉にはっとした。まだ最悪の事態にはなっていない。たった一言で、絶望が侵食し始めていた心が揺さぶられる。


「――ッ、殺してやる！！！」


問答は無用だと判断した、というよりは堪えきれなかったのだろう。アゲハくんがバットを大きく振りかぶって女性へと突撃していく。
武器を振りかざされた彼女は身を捻って容易く避けると、晴くんの上から飛び退き、私たちから距離を取った。すかさずアゲハくんが後を追う。


「晴くん！！」


今しかない。血だらけの晴くんの傍にしゃがみこむ。ローファーの裏にぬるりとした感触があったけれど、気にしているヒマはない。
せめて。
せめてあとすこし早く、晴くんが残していった手掛かりから足取りを掴めていたら。


「……どう、しよ……っ」


転んで負った擦り傷に施す応急処置程度じゃ効果がないのは明らかだった。日常生活でなら真っ先に119番をコールする容体。
現実に頭がついていかず、遠のきそうになる意識を、歯を食いしばって引き留める。
柔らかそうな髪にも、ブレザーにもズボンにも染み込み、流れ出した血は足元付近まで広がりつつある。呼びかけにも開く気配のない、閉ざされた瞼。出血は頭部と腹部が甚だしい。いつも平和そのものの表情を浮かべていた顔は一面蒼白で――


「…………うそ」


思わず手で口許を覆った。気がつく。そこで、気がついてしまった。
乱雑に剥がれた皮膚から覗く白――――片耳が、無い。

ひ、と。理解したのち、自分の喉から細い息が漏れる。
どれだけ重傷になろうともイバラシティでの存在には関係ないとか。もう、そういう問題じゃない。


「…………ぅ、」


耳、それにお腹。生々しい人体の中身を意図せずしてまじまじと直視してしまい、途端に気分が悪くなって顔をそむける。


「止血……っ」


溢れ出てきた涙をぼたぼた落としながら、カバンの中から治療に使えそうなものをあるだけ取り出していく。皮と肉を断ち、骨が見えるほどまで大怪我を負ったひとの手当てをした経験なんてない。転んで擦りむいた傷に施すような簡易的な処置で対応できる程度を遥かに超えている。
肉や皮膚を再生させるような力も。なにかの物質を生成して、欠損した部分を補うような力も。なにも無くて。
どくどくと未だ流れ出ている血を止めることすらも、できるかわからない。それでも、消毒液を吹きかけ、ガーゼを当て、とにかく手を動かす。


「晴くん…………はるくん…………」


返事はしなくていいから。瞼を動かすとか、唇が動くとか。なんでもいいから。
他人の言葉じゃなくて、確実に助かる見込みがある、とわかる保証がほしくて。名前を呼び続ける。


「なんで……」


血は、止まらない。換えても換えても、白い布が瞬く間に朱に染まっていく。


「なんで…………」


指先が、震える。


「こういういざってときに……！　役立たず……っ！！」


声を荒げる。自分自身に対して。
まだ生きている。そう言われた。
まだ生きている。それを、私はなにもできずに。


「私の異能、いつも……いつもいつも……ッ」


腐らせたり、毒に変えたり……ひとを害するものしか、作れない。それしか、できない。
　　　　　　　　私
――――使役する根本が、そういう本質だから。


「晴くん……」


叫ぶ声。重いバットが振るわれる音、硬いもの同士がぶつかる音。
鋭い切っ先が空を薙ぐ音。弾かれる音。くつくつと笑う誰かの声も。地が踏みしめられる音も。
すぐ近くで起こっているすべての物事が、ここではないどこか遠くの出来事みたいで。


「目……開けてよお……」


いまも一歩間違えれば私が晴くんを。……一命をとりとめている晴くんに、とどめを差しかねない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ちから
自分じゃ間違えたことにすら気づけない。そんな異能。


「……」


止血剤も。キャンプで分けてもらった、万が一の時のための治療薬も。やれるだけのことはあらかた手を尽くした。
無力感の中で祈り、願い。絶望に飲まれそうになる、間に、


「…………ッ」


ゴン！　と、一際重く、湿り気のある音が鼓膜に響いた。


「……！」


いつの間にか止んでいた戦闘音。ようやくそこで私は顔を上げた。

悠吏ちゃんに掴みかかっていた鬼がよろめきながら、悠吏ちゃんを突き放すようにして離れる。傍にはアゲハくんが。バットを振りかぶった姿勢で荒い息をしている。
女性の白い肌を鮮血が伝う。一撃を、食らわせた。殴られた頭を押さえ、苦悶の表情を浮かべた女性がふらつきながらも高く跳ぶ。


「……チッ……」


間際、微かに聞こえてきたのは忌々しげな舌打ち。私をはじめ悠吏ちゃんもアゲハくんも、誰も……あとを追おうとはしない。
なにも言わず。なにも言えずに。赤い空に溶けていくように遠ざかるその背中を、視認できなくなるまで見つめていた。

そうしてふ、と視線を戻した傍ら。


「……とまってる……」


晴くんの出血が止まっていた。薬が効いた？　まさか、出るだけの血がすべて抜けたから……。


「……コイツ、相も変わらず脂肪たっぷりだな。修復の素材には困らなさそうだ」

「！　悠吏ちゃん！　首から血が……！」


晴くんの胸元を凝視しているうちに、悠吏ちゃんがこちらへと戻ってきていた。その首筋には鋭い牙で穿たれたような丸い傷穴。そこから血が伝っている。
遅れてアゲハくんもやってくる。彼のほうは目立った大きなケガはないようでホッとした。悠吏ちゃんは努めて冷静にその場に屈みこむと、晴くんを見やる。


「しゅうふく？」


しゅうふくと言ったらあの、ものを直す修復以外思い浮かばない。それに素材、とも言った。
修復。つぎはぎ。作り直し。再構築――


「ぁ」


思い当たった。数時間前の会話で悠吏ちゃんの口から明かされた、悠吏ちゃんの異能。
一部といえ、人体の生成。ほんとにそんなことができるのか……なんて。疑うよりも今は……縋りたかった。


「……悠吏ちゃん」


お願い、と。泣きはらしたままの顔で、私は悠吏ちゃんにまっすぐなまなざしを向けた。

ENo.35 一深 とのやりとり


ENo.546 不幸喰らい とのやりとり


ENo.612 チホ とのやりとり


ENo.789 無名 とのやりとり


ENo.968 緋染の白花 とのやりとり


ENo.1237 五＋嵐 とのやりとり

ItemNo.2 花びら を破棄しました。

泥蘇光悪渡(150) に ItemNo.15 滑々な水風船 を手渡ししました。

ItemNo.27 エナジー棒 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

狒々は大人しくなり、低姿勢で温泉をこちらに勧めてきた。

温泉に入るチャンスを得たようだ。

　

　

　

探索を進めると、聞こえてくる電子音･･･

　

どういうわけか、ゲームセンターが稼働している。

　






チャットが開き、ソージロウが現れる。

チャット越しに周囲を見渡し･････満足げな表情を浮かべる。

　





突然エディアンがチャットに現れた。




ソージロウと同じく、周囲を見渡す。






筐体をじーっと観察する。

　









ゲームの話に夢中になるふたり。

　

　

　

しばらくして、ソージロウが話しかけてくる。




　

･････身体の奥から、少し力が湧き出る感覚。


各CP･FPが2増加した！



　

　

　

ラノザ(893) から 100 PS 受け取りました。

ItemNo.23 カルシウムたっぷりのごはん を ItemNo.2 に持ち替えました。

ItemNo.25 エナジー棒 を ItemNo.15 に持ち替えました。


制約LV を 5 UP！（LV10⇒15、-5CP）
装飾LV を 5 UP！（LV53⇒58、-5CP）

悠吏(526) により ItemNo.14 レンガ から射程1の呪器『いちご柄のメイクポーチ』を作製してもらいました！
　⇒ いちご柄のメイクポーチ／呪器：強さ786／［効果1］攻撃40 ［効果2］－ ［効果3］自滅19【射程1】

三科(286) の持つ ItemNo.36 おさかな から魔香『アリ寄りのアリなアロマ漂うアレ』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 1 3 6 = 10 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
泥蘇光悪渡(150) の持つ ItemNo.13 すごいお肉 から料理『とびきり厚切りステーキ』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 2 3 4 = 9 ］成功！料理の付加効果のLVが増加！
ラノザ(893) の持つ ItemNo.28 おさかな から魔香『ホワイトインセンスカード』をつくりました！
　⇒ おいしくなあれ♪！［ 1 1 1 = 3 ］大失敗！なんか妙だ！！！！料理の効果1が「自滅」に変化！

姫子(618) とカードを交換しました！

トリクラット （トリクラット）


サイケデリア を研究しました！（深度0⇒1）
サイケデリア を研究しました！（深度1⇒2）
グルームカード を研究しました！（深度0⇒1）

ヴィクティム を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

悠吏(526) は 生命の宝石 を入手！
晴(428) は 光小晶 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 赤い羽根+1 を入手！
ユイノ(388) は 光小晶 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 毛 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 毛 を入手！
悠吏(526) は 毛+1 を入手！
泥蘇光悪渡(150) は 毛 を入手！
晴(428) は 毛+3 を入手！
悠吏(526) は 毛 を入手！
悠吏(526) は 毛+1 を入手！
ユイノ(388) は 毛+1 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『リュウジン区 P-15：チェックポイント《渡し舟》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - ユイノ(388) の選択は リュウジン区 P-15：チェックポイント《渡し舟》

MISSION!!
リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス を選択！
　　 - ユイノ(388) の選択は リュウジン区 D-3：昇竜レジデンス

［821 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［444 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［481 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［200 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［410 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［328 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［263 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［189 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［111 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［146 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［146 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［299 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［41 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［203 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［89 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［99 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［90 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［46 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［76 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［56 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［5 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［100 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［21 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［43 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ
［0 / 100］ ―― 《白い渦》不幸
［11 / 100］ ―― 《黒い渦》不運



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

Cross+Rose越しにどこかの様子を見ているエディアン。




　

　

　











いくつかの映像が映し出される。

　







　

不思議そうにするエディアンを見て、軽くため息をつく白南海。






　






　

　

　

チャットが閉じられる――

聳え立つ巨大マンション、昇竜レジデンス。

　

その姿はハザマでも健在で、それを見上げると――

　




上空からふたつの巨体が迫り来る！