［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［スキル］OK.　

　入口を見ると、既に2人ほど倒れている。白を基調としたローブに、僅かに銀色の刺繍が見えた。
　装飾品等は見られない。

　―― 今まで会った者と比べると、随分と身なりが整っているような。

　ランドルフは、倒れた2名の様子を確認している。

「奴は見当たらねーっスね」
「あいつらは2人をやった後で、奥に逃げて行った」

　聞こえた会話を受けて、リオネルは倉庫の様子を眺める。古びた箱が幾つか並んでいる。中には朽ちかけた武器や防具が疎らに放り込まれている。また、見回している途中で 開いたままのハッチに目が留まった。
　地下の様子は今のところは分からないが、この場で確認した限りでは 使えそうな装備品があまり見当たらない。今は騒ぎが落ち着いている訳では無く、戦いに出向いている者もいるのだろうと考えた。つまりは持ち出されているのだろうと。

　―― 室内でやりあった割には散らかっていないような？

　中はさほど広くない。戦闘が発生すれば、どこかが破壊されそうなものだが そういった形跡が少ない。

　―― 何もできないままやられたのか？

　倒れている2人が非戦闘員だったか、対峙した眷属が余程強力だったか。リオネルには、その2つの可能性しか考えられなかった。

「刃物ではないな。治療班に言えば治せそうだ」
「盾を持って殴っていた。……治療班の手配は済んでいる」
「奴らは……地下だな？」

　開いたハッチの下を覗き込むランドルフ。リオネルは慌てて肩を掴み止めた。

「何」

　リオネルの手を振り払いながら、ランドルフは短く尋ねる。

「オレが先に行く。後ろだと、オマエ達を護ることが出来ない」
「……『神力』でも飛び道具でも何でも、援護は出来ないのか？」
「飛び道具は無理だ。『神力』は……出来ることがあるかもしれないが、使うときの条件の関係で 前に居た方がやりやすい」

　≪不幸喰らう力≫と呼ばれる その神力を振るう為には 迫りつつある事象を何らかの形で認識する必要がある。認識するにあたって手段は問わないが、視認することが最も手っ取り早くて精度が高い。
　それ以外の援護であれば、精神面に神力を作用させる等が考えられるが、リオネルはこの使い方をあまり好んでいない。使うとしても、一度相手の許可を得てからと決めている。今はそこまで説明する時間が無い。

「先に降りるといい。梯子を壊すなよ」

　リオネルはハッチの近辺 ―― とりわけ、貧相な梯子を重点的に見た後に、梯子を使わずに飛び降りた。幸い、降りた先はしっかりと舗装がされていて リオネルが着地しても崩れる様子など無かった。
　続けて、幾つか身軽な足音が響く。

「中は入り組んでいるのか？」
「それなりに。……僕たちは全員、道を把握しているから迷うことは無い」
「今、人が集まっている場所を教えて欲しい。『神力』の干渉でも受けない限り、『眷属』達は人間の多い場所に移動する」

　厳密には、彼ら『眷属』は 生み出した元となる竜の意思に従う。
　今、この街を闊歩する『眷属』共は全員が銀竜の生み出したもので、その銀竜は気が触れて人間を殺しまわっている。
　つまりは『眷属』もまた気が触れた銀竜と同様、人間の多い場所に集まり 人間を殺すために動く。

「道中の扉は無視して 分かれ道を右に。それを3回、最後の突き当たりが休憩所だ」

　ランドルフの言葉を受けて、リオネルは少々足早に歩き出す。最初は自分たちの足音だけが聞こえていたが、そのうち人の叫び声や 物音が聞こえ始めた。通路に倒れた人間が目立つようになった。既に命を落とした者もいる。まだ生きている者もいる。彼らは皆、白いローブを身に着けていた。倉庫に入った時に見かけた者たちと同じ。

「……『眷属』達を斃して、また戻ってきます。治療はその時に」

　リオネルは、まだ生きている者にそう声を投げかけた。

「……やめ、……余計、な、…………」
「銀竜、……ま、の、意思を、……」


　彼らは皆、不安定な声で何かを訴える。しかし、その声が届く前にリオネルは先に進む。訴える声はリオネルを立ち止まらせる程の力を持たず、力を持つ者は誰もリオネルを止める理由を持たない。
　倒れた人間を見かける度に一言だけリオネルは声をかけ、そのたびに 彼らは同じ言葉をリオネルに訴えた。
　彼がひとりでなければ、彼はその言葉に足を止めたのかもしれなかった。

「……アイツだ」

　件の眷属と遭遇するまで、存外時間はかからなかった。
　2体。銀目の土人形はどちらも人と変わらないで、それぞれ古びた盾と 錆びた兜を幾度も叩きつけている。その相手は、ローブを身に着けた人間であった。人間は既に事切れているようで、動く気配が無い。
　その状況を、リオネルは確かに視認した。

　―― これ以上、誰かを傷つけさせる訳にはいかない。

　そう考えたからこそ、彼は『不幸喰らいの英雄』として、調和竜より賜った権能を振るうことが出来る。
　しかしながら、『不幸喰らいの英雄』としての力を振るうまでもなく、銀目の土人形の視線がリオネルに移った。既に命を落とした人間を放り棄て、リオネルに向かって歩き出す。2体のうちの片方が、持っていた兜をリオネルに向けて投げつける ―― さほど速くはなく、リオネルは盾で難なく防ぐ。盾を持っていた方の1体は、盾を両手に持って大上段に振り上げ ―― おおよそ盾に対する扱い方とは呼べないそれを見て、迷わず地面を蹴った。盾が振り下ろされるよりも速く懐に潜り込んで相手を突き飛ばす。土人形の手から盾が離れたかと思うと、盾から赤い鎖が伸びた。鎖は 兜を投げた方の土人形の顔と繋がっており、鎖に引かれるように 盾は土人形の顔に突き刺さった―― リオネルの背後で、ランドルフがそれぞれ指をさして『神力』を振るっていたのである。
　突き飛ばして倒れた土人形の頭部は、リオネルが踏みつけた。
　頭部にダメージを受けた土人形たちは、即座に崩れて単なる土塊へと形を変えた。

　―― 思った程は、大した相手でも無かったか。

「末端たちに処理できない程度に強かったけれど、僕が簡単に処理できる程度に弱いな。本当にこの程度だったのか？」

　ランドルフもリオネルと似たような感想を抱いたのか、同行していた仲間に尋ねている。

「これだけじゃない、他にもいた」

　奥の方から微かに、硝子が割れるような音がした。

「休憩所だ！ 急げ！！！」

　ランドルフの声に弾かれるように、リオネルは走り出す。ランドルフ達も、リオネルの後を追う形で 走っていく。―― その足跡が途中からリオネル一人分しか響かなくなっていたことに、すぐ気づけなかった。先に進む毎に、血の臭いが濃くなっていった為だ。
　リオネルにとって血の臭いは死の臭いでもあり、そこには敵対存在か要救護者のどちらかが存在して、いずれにせよすぐその場に駆け付けなくてはならないと身体で覚えていた。
　突き当りの扉は僅かに開いていた。リオネルは扉を開け放ち、中に飛び込んだ。

「……っ、」

　噎せ返るほどの血の臭いがする。確かに死の気配の中心はこの場所であったが、動く気配は感じない。生きた人間の気配も、―― 眷属の気配も。
　近くには、壊れたランタンが転がっている。先の硝子の割れた音は、このランタンが落下したことによるものだろうか。
　周囲に灯りは見当たらない、簡素な燭台はあるが蝋燭は無い。警戒したまま目を凝らせば、そこは何かを乗せるような台があると分かった。

　―― これは本当に休憩所か？

　ようやく疑問を覚えた時には、既に遅かった。
　高らかな鍵の音と、重い荷物が重ねられる音が 背後から聞こえた。

「―― ディル。アーヴィン。出来るだけ末端の人間を、片っ端から集めろ」
　　　　　　　　　　ランドルフ・アルストロメリア
　それは紛れもない、　　世界を傾ける者　　の声だ。

「『銀竜の意思に背く者を3番倉庫に封じ込める』と」

　―― 見返りどころか 成否に関わらず死ぬと分かっていて、その上で銀竜を止める ただそれだけのために？

　この国はリオネルが把握しているよりもずっと末期だった。

「……さすがにそろそろ分かるだろう？ 俺はあんたの敵だって」

　―― 狂っている ―― それが正しいか間違っているかという話ではなく、狂っているよ。

　世界を傾ける特異点は、世界の敵となる選択をした。

　―― ……やめ、……余計、な、…………。
　―― 銀竜、……ま、の、意思を、……。

　やめろ、余計なことを。銀竜様の意思を。



　ランドルフ・アルストロメリアの周りには、終わりを望む人間が集まった。
　彼らはリオネルに嘘を吐いていた。
　終わりを終わらせる為に現れたリオネルが、歓迎される筈など無かった。



　……。

ENo.19 翠眼の蛇 とのやりとり


ENo.388 ユイノ とのやりとり

ItemNo.31 イェーガーボム を食べました！
　体調が 1 回復！（25⇒26）
　今回の全戦闘において 活力15 防御20 鎮痛25 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

百薬LV を 5 UP！（LV5⇒10、-5CP）
合成LV を 5 UP！（LV46⇒51、-5CP）

産姫(885) とカードを交換しました！

疾風一陣 （プレリュード）


モルダー を研究しました！（深度0⇒1）
モルダー を研究しました！（深度1⇒2）
アンチドート を研究しました！（深度0⇒1）
アンチドート を研究しました！（深度1⇒2）
アウデンティア を研究しました！（深度0⇒1）
アウデンティア を研究しました！（深度1⇒2）

サモン：スライム を習得！
対症下薬 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

シエ(11) は 磁鉄鉱 を入手！
スバル(138) は 雪花石膏 を入手！
眞梨奈(155) は 磁鉄鉱 を入手！
不幸喰らい(546) は 磁鉄鉱 を入手！
シエ(11) は 強い牙 を入手！
スバル(138) は ビーフ を入手！
スバル(138) は 橙色の果実 を入手！
シエ(11) は すごい羽 を入手！
シエ(11) は ビーフ を入手！
眞梨奈(155) は すごい羽 を入手！

スバル(138) に移動を委ねました。

ツクナミ区 O-4（森林）に移動！（体調26⇒25）
ツクナミ区 O-5（森林）に移動！（体調25⇒24）
ツクナミ区 O-6（森林）に移動！（体調24⇒23）
ツクナミ区 O-7（山岳）に移動！（体調23⇒22）
ツクナミ区 O-8（山岳）に移動！（体調22⇒21）

［822 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［445 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［490 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［199 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［407 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［325 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［250 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［181 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［105 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［148 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［144 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［288 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［40 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［199 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［84 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［99 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［78 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［45 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［76 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［100 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［55 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［1 / 100］ ―― 《荒波》強き壁
［83 / 100］ ―― 《小集落》猛襲
［13 / 100］ ―― 《落書き壁》リアクト
［38 / 100］ ―― 《変な像》揺らぎ



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　

空には変わらず光の玉が、星々を模している。

次第に集まり、大きな光になっていく･･･

　

　

　









　





　

　

　

集まった光がそれぞれ何かの形を成し、地上に落ちてゆく。





　

　

　





　

　

　

チャットが閉じられる――