［基本］OK.　［戦闘］OK.　［戦闘:エイド1］OK.　［戦闘:エイド2］OK.　［戦闘:エイド3］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

　……。




　眩暈がするほどの甘い味を噛み締めながら、歩き続けていた。
　左手から赤が滴る。片足を引き摺る。

　―― 治った後で、町を出るべきだったか。

　ランドルフ・アルストロメリアも、他の協力者も、見つけられないまま今に至っている。
　幾つかの街に辿り着いて、≪不幸喰らう力≫で負傷者の治療を行った。
　この力で傷を治すということは、傷を代わりに引き受けるということだ。
　近くの枯れ木に凭れようとして、―― 軋む音がして ―― やめた。
　前に進まなくては。そう考えなおした時、

「―― そこのあんたぁ」

　声をかけられて振り返れば、枯れ枝を幾つも抱えた老人。

「どこの人か知らんが、旅人か何かかい……酷い顔しとる」

　誰かの土地ではないと判断して歩き続けていたが、老人の様子を見ると ここは誰かの生活圏なのかもしれない。困った人間がいるのであれば助けなくてはならないが、今の自分は誰かを助けられる状態ではない。
　―― 一度、ここを離れないといけない。

「……邪魔して、すみませんでした」
「待たんか。……待て、と言っている」

　本当なら立ち止まってはいけないのかもしれない、と考えながらも 数度声をかけられれば無碍には出来なかった。

「その身体でどこに行けるか」
「行ける、じゃなくて、行かないといけないんです」
「答えになっとらんわい。今にも倒れそうな顔色で、あんたは行きたいところまで行けるのかい」

　そう尋ねられれば、答えることが出来なかった。
　自分のシメイは、銀の竜のもとに辿り着く途中で命を落としてはならない。
　黙りこくるリオネルの目を見ていた老人は、一言。

「……来ると良い」

　何を言っているかすぐには理解できなかった。だからこそ相手も、言葉の続きを話したのかもしれない。

「医者も 竜の力も ありはしないがな。多少休むことは出来る」





　案内された場所は、石で出来た小さい建物が疎らに並ぶ集落だ。
　その中のひとつ、老人の居所と思われる場所に案内される。椅子も机も無く、互いに床に座った。

「あんたぁ、『不幸喰らいの英雄』かい」
「……！ 何で、」

　―― この国の人間は、『英雄』の存在を御伽噺と捉えているんじゃないのか？

「大昔の存在が再び現れるとは……長く生きれば色々あるものだ」

　使え、と 老人は リオネルの傍に箱を置いた。手当の道具が入っている。
　リオネルは断りきれず、応急手当を始める。

「ここは昔、灰色の目をした『英雄』が立ち寄った場所のひとつと言われとる。……他の街にも立ち寄ったのかもしれんが、他の街は悪い方向に様変わりしとるからな。単なる御伽噺としか考えとらん輩も多かろう」

　老人の言葉に、リオネルは頷く。
　御伽噺として知られているのは 比較的良い方で、先代『不幸喰らいの英雄』の話を知らない者も珍しくはなかった。

「ここは元々、墓場だった。あんたが歩いて来たところを少し北に逸れていれば、今も『英雄』が建てた墓が全て残っておる」
　既に滅んだ村に辿り着いて、墓を作って去ったことは知っている。

「この集落は、『英雄』の付き添いをしていた人間たちの手で作られたと言われておるよ」
「そうだったんですか、……それにしては………………町を構える程に便利な場所には見えませんが」

　随分と言葉を選んだ。

「寂れとるだろう」

　言葉を選んだことに気付かれてしまった。

「そりゃあそうだ。嘗ての『英雄』に付き添った人間は、銀の竜を鎮めた後、街に戻れんくなったそうだからな」
「街に……どうして」
「あの後、『英雄』もまた災厄の原因のひとつと考えられた。―― あんたもこの国の人間を見ていれば、どういうことか これ以上話さなくとも もう分かるだろう？」

　リオネルは頷く。
　―― 多分、『英雄』と共に行った人間も そういった存在だって考えられたんだ。
　―― 先代『不幸喰らいの英雄』は、何のために旅立ったんだ？

「そのうち、ここには何らかの理由で賤民へと身をやつした人間が集まるようになっていった。ここの人間は多くが、『英雄』一行と 後から流れ着いた人間の子孫だ。……無論、儂も例外ではない」

　『英雄』は竜に命を捧げ、『英雄』は災厄の原因と見做された。
　『英雄』と共に旅をした人々は疎外された。
　―― 道理で、歪んだ形で彼女の行動が広まっている訳だ。
　―― だからこそ、嘗てと同じ災厄が また繰り返されている。
　―― 本当にオレは、ただ何も考えずシメイを果たすだけでいいのか？

「しかしあんたぁ、身体はでかいが まだ子どもだろう
「いや……子どもって訳ではありません。もうそろそろ16です」
「子どもと大して変わらんわい。あんたもあの『英雄』と同じことをするなら……調子が戻るまで休んでいくといい。あんたが銀の竜の下に辿り着くためにな」





　それからしばらく、リオネルの元に人がやってくるようになった。
　誰もが最初に、こう言った。

「爺のところに英雄がやってきたって聞いた」

　あの老人は、集落の皆から随分と慕われているのだろうか。と 漠然と考えながらも やってきた人間の話を聴くことにしていた。
　聞けば、彼らは自らの生い立ちを話していく。

　ある人物は、元々『砂被り』と呼ばれる仕事をしていた。
　『砂被り』と呼ばれる仕事はリオネルも初めて聞いたが、どうやら特定の場所で働く採掘夫のことらしいと聞いて納得した。イェルデ共和国は宝石や金属がよく採れる国だと聞いている。
　場所を聞けばそこは自分が向かう先 ―― 則ち 今では崩落した銀竜の巣であったし、『砂被り』達はそこが銀竜の巣であったことを認識していないらしい。
　銀竜の巣がまだ残っていた頃、小規模の崩落に巻き込まれて以来 鶴嘴を使えない身体になったという。そして『砂被り』はあまり人から善く思われない仕事でもあり、他の生き方も出来ない。
　そうして町で暮らせなくなり、こちらに移り住んだのだと そう話していった。

　ある人物は、物心ついた時にはこの集落にいたという。
　しかし、ここで生まれた訳では無い。その人物はこの小さな集落の、どの人間とも顔が似ていなかった。
　どうやら自分は捨てられた子どもらしい、ということに 比較的最近気がついた。それ以来、どうして捨てられたのか、集落の人間に何度も問い詰め続けている。彼らがその答えを出せる筈が無いと知っていて、それでも尋ね続けている。
　リオネルにも尋ねられたが、分かる筈が無い。自分はイェルデの人間ではないので、この国の人間の考えは分からない ―― そもそもリオネルの国では子供の出生も全て管理されているので、『子どもを捨てる』という行為は反逆を意味する。
　分からないと伝えても 彼女はリオネルを責めなかった。
　他の街に行って調べようとしても、この集落から来たことが知れただけで追い出されてしまうから、他に選択肢は無いのだと そう話していった。

　ある人物は、この街で生まれて育ったという。
　この街で何度も『不幸喰らいの英雄』の話を聴かされていた。その話を良いとも悪いとも思わなかったが当然の如く信じてもおらず、だからこそリオネルの事も疑っている様子だった ―― 　彼の指にあった小さな傷を『喰らう』ことで、どうやら疑いは晴れた様子であったが。
　『不幸喰らいの英雄』の話は、元々 過去の悲劇を繰り返さないために伝えられる筈だったのだろうと 彼は語る。そして今、銀竜が暴れている様子を見て 全てが無意味だったのだろうと そう言った。当然ながらリオネルはそれを無駄にしないために来たのだが、それが上手く行ったとしても 災厄が引き延ばされるだけではないかと 彼は案じているようだった。

　誰も、リオネル自身のことを深く尋ねられはしなかった。皆、思い思いに自分の話をして、去っていく。
　―― この国の状況を考えたら、仕方ないのかもしれない。
　そう考えて、リオネルは黙って聞いていた。

　他の街から移り住んだ 元『砂被り』も。
　集落の近くに捨てられていたという少女も。
　この集落で『不幸喰らいの英雄』達の行く末を案じていた男も。
　誰もが最後に、こう言った。



「どうか頑張って、シメイを果たして」



　―― この人たちを救うためにも、やっぱりオレは立ち止まる訳にはいかない。
　そう、考えた。






















　傷が癒えて『不幸喰らいの英雄』が去った後、墓場より獣が這い出した。
　土と『神力』を纏い銀の目をした獣どもは『眷属』と呼ばれる存在であったが、それを知る者は集落に誰一人いない。銀竜の眷属たちは、銀竜の意思に従って蹂躙する。それは嘗て銀竜の狂気を鎮めた英雄一行の子孫であろうと、例外ではない。

　『不幸喰らいの英雄』に、比較的好意的な感情を抱いていた人間は 運悪くあっさりと命を落とした。そして、それ以外の人間は直ぐに死ねず ―― 誰もが、呟いていた。
　瓦礫の下で、息絶えるまで。

「あの騎士のせいだ」
「落日の色をした、あの男のせいだ」
「助けるんじゃなかった」



　怨嗟の声は、『不幸喰らいの英雄』の耳には届いていない。
　それでも確かにそれは、四肢を繋ぐ枷となって 後の彼に届いている。



　……。

ENo.285 日明と月夜 とのやりとり


ENo.978 杏里 とのやりとり

ItemNo.26 エナジー棒 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 活力10 防御10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

守護者の姿が消え去った――

　

　

六角形の柱から天に向け、赤色の光柱が立つ。

どうやら次元タクシーで行けるようになったようだ。

スバル(138) に 100 PS 送付しました。

カゲ(1619) から ふきのとう を受け取りました。

エナジー棒（30 PS）を購入しました。
エナジー棒（30 PS）を購入しました。

変化LV を 5 UP！（LV25⇒30、-5CP）
防具LV を 4 UP！（LV95⇒99、-4CP）
合成LV を 1 UP！（LV35⇒36、-1CP）

スバル(138) により ItemNo.17 竜守の大盾 に ItemNo.28 すごい石材 を付加してもらいました！
　⇒ 装備品性質補填！効果3のLVが11増加！
　⇒ 竜守の大盾／戦盾：強さ136／［効果1］回復20 ［効果2］体力20 ［効果3］魔力44【射程3】

ミコト(1613) とカードを交換しました！

侵蝕の紅 （ディープブルー）


フォレストオファリング を研究しました！（深度0⇒1）
フォレストオファリング を研究しました！（深度1⇒2）
フォレストオファリング を研究しました！（深度2⇒3）

紙一重 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

不幸喰らい(546) は 栄養ドリンク を入手！
不幸喰らい(546) は 栄養ドリンク+1 を入手！
不幸喰らい(546) は 強靭な皮 を入手！
シエ(11) は 強靭な皮 を入手！

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『ミナト区 G-8：チェックポイント《珈琲店》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - シエ(11) の選択は ミナト区 G-8：チェックポイント《珈琲店》

MISSION!!
マガサ区 F-6：チェックポイント《美術館》 を選択！
　　 - シエ(11) の選択は マガサ区 F-6：チェックポイント《美術館》

［837 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［454 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［498 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［203 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［406 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［325 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［245 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［182 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［98 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［148 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［135 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［266 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［32 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［123 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［67 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［81 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［62 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［34 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［49 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［68 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護
［51 / 100］ ―― 《苺畑》不安定性
［0 / 100］ ―― 《荒波》強き壁



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




　





突然チャットに現れるマッドスマイルちゃん。

　






疑いの目で見るふたり。

　








不満そうな顔で腕を組むエディアン。

　

　

　











チャットから抜けるマッドスマイルちゃん。

　

　

　

　

　

　




　




　

　

　

チャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！