［基本］OK.　［戦闘］OK.　［取引］OK.　［スキル］OK.　

「……ありがとう。くららちゃん、少し離れててもらえる？　……ぼくは大丈夫だから」

　大曲が頷くと、斑目水緒は肩越しに蛸を振り返った。
　くららちゃん、と呼ばれた蛸はこちらに視線を向けたままゆっくりと後退し、五メートル程離れた辺りで止まった。それ以上離れる気はないらしい。
　その姿を視界から外さないようにして、視線は斑目水緒へ移す。

「それで、あの情報の入手元でしたか。本来は守秘義務があるんで教えられないんですけど……まあ、ここで言ったところで問題にはならないでしょう。逆に、あなたがここで知る意味もたいしてないと思いますけどね」

　ごくりと唾を飲み込む彼の姿は緊張しているのが丸わかりで、いっそ微笑ましさすらある。

「……花勝見真菰。
　あなたの大学の院生、知ってますよね？　彼女なかなか強かでして、志望の研究所行きの切符と交換で、あなたの情報を売ってくれました」

　薄青い目がゆっくりと驚愕に見開かれる。なかなか愉快な見ものだと思いながら、大曲は言葉を続けた。

「彼女がどこから情報を手に入れたのかまでは存じ上げませんが……ああ、直接聞いてみたらいかがです？
　確かこっちに来ているはずですよ」

　それはどちらも本当だ。
　大方病院関係者に伝手でもあったのだろうが、大曲にはそんな憶測を話してやる義理もない。ハザマに呼ばれてすぐに、関わりのある人間については一通り確認したので、花勝見真菰がこちらに来ているのは確かだ。

「……そっか、花勝見くんが」

　斑目水緒はそう呟いて、力が抜けたように俯いた。肩が僅かに揺れる。

「……ふ、ふふ……そっか、」

　震える声。それから上げた顔に浮かぶ彼の表情に、大曲は知らず口元を引き攣らせた。

「よかったぁ」
「……は？」

　、、、、、
　笑っていた。
　今にも泣き出しそうな顔で、斑目水緒は笑っていたのだ。

「花勝見くん、この前のバレンタインの時にチョコくれて。
　ぼくは用事で会えなかったんだけど、応対した院生の子が『就職決まったらしい』って言ってて。どこになったんだろうって思ってたんだけど、そっか、志望してたとこに行けたんだねぇ」

　気味が悪い、と思う。
　人の善意を無条件に信じ、一方的に与えられた被害すら、理由を見つけられれば赦そうとする。
　半端な良心を持ち合わせる相手に対してはまあまあ有効な手ではあるが、デメリットが大きすぎる。
　つまり、恐らくは、この男はそういう人間なのだ。
　呆れるほどの善性生物、愚かしいほどのお人好し。
　全く理解ができない。ただただ気味が悪い。

　大曲が最も嫌う類の人間だ。

「……でも、他に漏れてないかだけ心配だなぁ……」
「それについては心配ないと思いますよ。彼女は情報の価値をわかっている人ですから、無闇に言いふらしたりはしないでしょう。別にあなたに恨みがある様子でもなかったですし。
　ああ、我々から漏れる心配をしてます？　それもないのでご安心を。折角手に入れた貴重なデータを、他社に渡すはずがないでしょう」

　引き攣った表情を意識してにこやかに保ちつつ、ぽつりと呟く斑目にそう答えた。

「それは、そうかもしれないけど……あ、っていうか君、まだぼくのこと狙ってるんじゃ……！」

　はっ……とこちらに怯えた目を向けてくる斑目水緒と、離れた位置で身じろぎした蛸を同時に視認しながら、大曲はやれやれと肩を竦めた。

「ああ、あの話ですか。
　……まあ、こっちであなたに言ったところで意味はないんですけど。あの案件、社内会議で無期限凍結になりましてね。いや～～青斑さんからすっごい苦情入っちゃって、大変だったんですよ」

　わざと冗談めかしてそう付け加えると、斑目水緒は安堵したような息を吐いた。
　青斑から苦情が入ったのは本当だ。窓口担当が誠心誠意謝罪して、上司から青斑の隙を見つけるまではおとなしくしているように指示があったというだけだが。

「そ、そうなんだ……なんかごめん……」
「あなたが謝る必要はないと思いますけど。
　……ところで、こちらからもお聞きしたいことがあるんですが、」

　何故か申し訳無さそうな顔をする斑目水緒に呆れた視線を向けつつ、話題を変えようとして。


　――視界のどこにも、蛸の姿がないことに気付く。


「あれ、どうしたの」

　驚愕が顔に出ていたのか、斑目水緒が不安げな表情を向けてくる。

「……斑目先生。"くららちゃん"、何処へ行ったんですか？」

　油断、したのだろう。蛸から注意が逸れた一瞬の間に、鮮やかな豹紋は忽然と消えていた。
　周囲に視線を走らせるも、あれほど目立つ姿は影も形もない。

「え？　……アレ！？　くららちゃん！？」

　言われてきょろきょろと辺りを見回す斑目水緒に、そろりと近づく。
　"くらら"と名付けられた蛸については、会社から渡された斑目水緒に関する調査資料にも記載があった。
　侵略騒動の少し前から斑目研究室で飼育されている、ヒョウモンダコのメス。
　大曲が研究室を訪れた日にも、それは水槽の中で泳いでいた。

　――こちらを、見ていた。

　　　　　　　　　　　　　　　　シュレーディンガー・ブラックキャット
　イバラシティでの大曲の異能、"未観測運命理論・不在の黒猫"の発動には条件がある。
　発動の瞬間、他者からの視線を受けていないこと。誰からも観測されていないこと。
　とはいえ、基本的に動物からの視線は問題がないはずだった。少なくとも、野良猫や鳩といった街中で見かけるような生物がその場にいても、問題なく発動できた。
　ただ、ごく稀に例外はあった。
　例えば、変身系の異能で姿を変えた人物であるとか、動物と感覚を共有できる異能であるとか。
　だからどれほど可能性が低くとも、異能を使う想定がなくとも、大曲は必ず周囲の状況を確認していた。
　いつ、何が起こるかわからないから。
　何が起こったとしても、異能さえ発動できれば大抵の被害は回避できるから。

　そうして常通りあの研究室を見回した時。
　唯一嫌な視線を――異能の発動を阻害する視線を向けてきたのが、あの小さな蛸だった。

　だからこそ、蛸が苦手なふりをして、親切な斑目にその視線を遮らせた。

　それなのに。

「……"くららちゃん"、ねえ」

　あの時、斑目水緒に血液を寄越せと迫った時。
　小さなヒョウモンダコは水槽を飛び出して、大曲と斑目水緒の間に割って入った。
　その瞬間には、誰かが蛸を異能で操っている可能性を考えた。しかし、

　くららという蛸に噛みつかれた瞬間。
　鋭い痛みが走った、その瞬間。

　大曲の目の前にいたのは、ヒョウモンダコではない、未知の何かだった。

「な、なに。さっきも言ったけど、くららちゃんは侵略者じゃ、」

　狼狽えた様子で蛸の姿を探していた斑目水緒が振り返る。
　その青い双眸に、酷薄な笑みを浮かべた大曲の貌が映っている。

「どちらでもいいんですよ。侵略者であろうと、なかろうと」

　大曲は息を呑む斑目の顔を見ながら、その白い髪を掴んで引き倒した。空いた片手で両手首を背中側に押さえつけ、足で踏みつける。

「痛ッ」
「ねえ、何なんですか？　あのヒョウモンダコ。
　僕ねぇ、それがずっと気になっていたんですよ」

　ぐ、と斑目の上に置いた足に体重をかけると、悲鳴の代わりに苦しげな息が吐かれた。
　髪を引き、顔を上に向けさせる。

　、、、、、、、、、、、
　まだ近くにいるであろう、姿の見えない蛸にもよく見えるように。

　これまでの行動から見て、あの蛸が斑目水緒に懐いているらしいことは間違いない。
　ならば。
　人質としての価値は、十分にある。

「さあ。出てきなさい、"くららちゃん"。さもないと……」



「大事なご主人様がどうなるかわからないわよ」

ENo.173 タウラシアス とのやりとり


ENo.520 チャコール とのやりとり

ItemNo.9 巻き込んだ石ころ を破棄しました。
ItemNo.39 毛 を破棄しました。
ItemNo.31 橙小石 を破棄しました。

ItemNo.24 バケツいっぱいの生肉 を食べました！
　体調が 0 回復！（30⇒30）
　今回の全戦闘において 攻撃10 防御10 増幅10 が発揮されます。
　今回の結果でのスキル熟練度が伸びやすくなった！

倒れた狐面の男女が消え去ると同時に、

小さな光の玉が出て空へと飛び去る。

　




そう言って、その場を去るひょっとこ。

　

　

　

その後、再び狐面が襲ってくることはなかった。

各々が街を愉しんでおり、居酒屋で酒に酔い大騒ぎする狐面までいる。

ただただ、賑やかな街だ。

　

　

突然チャットが開く。








チャットが閉じる。

　

　

　

･････身体の奥から、少し力が湧き出る感覚。


各CP･FPが2増加した！

ヨル(1282) から 100 PS 受け取りました。
ものすごい木材（1500 PS）を購入しました。

変化LV を 21 DOWN。（LV35⇒14、+21CP、-21FP）

自然LV を 15 UP！（LV20⇒35、-15CP）
呪術LV を 6 UP！（LV19⇒25、-6CP）
解析LV を 5 UP！（LV20⇒25、-5CP）
付加LV を 5 UP！（LV30⇒35、-5CP）

ヨル(1282) の持つ ItemNo.28 珊瑚 から法衣『血赤珊瑚の御守』を作製しました！

赤衣の魔女(1167) とカードを交換しました！

救い賜うておみ足を （ソルプレーザ）


パナケア を研究しました！（深度0⇒1）
パナケア を研究しました！（深度1⇒2）
パナケア を研究しました！（深度2⇒3）

コンシアンス を習得！
アイスミラー を習得！
大崩壊 を習得！
如法暗夜 を習得！
ルーク を習得！
水天一碧 を習得！

◇通常獲得：各CP･FPが5増加した！

タウラシアス(173) は ボルト を入手！
タウラシアス(173) は 栄養ドリンク を入手！
タウラシアス(173) は 小判 を入手！
タウラシアス(173) は 小判 を入手！
ナックラヴィー(502) は 小さな灯火 を入手！
タウラシアス(173) は 小さな灯火 を入手！

タウラシアス(173) に移動を委ねました。

特に移動せずその場に留まることにしました。
体調が全回復しました！

『カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》』へ採集に向かうことにしました！
　　 - タウラシアス(173) の選択は カミセイ区 H-4：チェックポイント《森の学舎》

MISSION!!
タニモリ区 C-11：チェックポイント《屋台》 を選択！
　　 - タウラシアス(173) の選択は タニモリ区 C-11：チェックポイント《屋台》

［842 / 1000］ ―― 《瓦礫の山》溢れる生命
［448 / 1000］ ―― 《廃ビル》研がれる牙
［500 / 500］ ―― 《森の学舎》より獰猛な戦型
［201 / 500］ ―― 《白い岬》より精確な戦型
［400 / 500］ ―― 《大通り》より堅固な戦型
［325 / 500］ ―― 《商店街》より安定な戦型
［240 / 500］ ―― 《鰻屋》より俊敏な戦型
［174 / 500］ ―― 《古寺》戦型不利の緩和
［96 / 500］ ―― 《堤防》顕著な変化
［142 / 400］ ―― 《駅舎》追尾撃破
［5 / 5］ ―― 《美術館》異能増幅
［131 / 1000］ ―― 《沼沢》いいものみっけ
［100 / 100］ ―― 《道の駅》新商品入荷
［251 / 400］ ―― 《果物屋》敢闘
［32 / 400］ ―― 《黒い水》影響力奪取
［110 / 400］ ―― 《源泉》鋭い眼光
［62 / 300］ ―― 《渡し舟》蝶のように舞い
［72 / 200］ ―― 《図書館》蜂のように刺し
［55 / 200］ ―― 《赤い灯火》蟻のように喰う
［27 / 200］ ―― 《本の壁》荒れ狂う領域
［46 / 100］ ―― 《珈琲店》反転攻勢
［23 / 100］ ―― 《屋台》更なる加護



―― Cross+Roseに映し出される。

　

　

　





　




　




　








　






着物の裾を上げ、脚を見せる。

表面がドロドロし、変色している。

　








ふたりの全身をじーっと観察するカグハ。






ふたりの裾を戻すエディアン。

　

　

　






　

　

　

チャットが閉じられる――

チェックポイント。

仄かな光に包まれた六角形の柱が立っている。

　

･･･柱から滲み出るように、何かが生み出される。



　




それは言葉を発すると共に襲いかかる！